- 民事執行法ー10.不動産に対する強制執行
- 1.不動産執行の通則
- 不動産執行の通則
- Sec.1
1不動産執行の通則
■不動産執行の通則
(1) 不動産執行の対象
① 土地・登記できる土地の定着物
不動産執行の対象となるのは土地及び登記できる土地の定着物(建物)である。登記できない土地の定着物、例えば、通常の樹木、庭石等は不動産とは扱われず、動産執行の方法による。
② 民事執行法上のみなし不動産
不動産の共有持分、登記された地上権、永小作権並びにそれらの権利の共有持分不動産とみなされ、不動産執行の対象となる。
cf 登記のない地上権・永小作権
土地・建物の共有持分については、登記の有無を問わないが、登記のない地上権・永小作権は不動産とは扱われず、その他の財産権に対する強制執行として債権執行による。また、不動産賃借権も、その登記の有無にかかわらず、その他の財産権として債権執行の方法による。
③ 特別法上のみなし不動産
特別法上不動産とみなされる登記された立木、工場財団、鉱業財団、鉱業権、漁業権などは、不動産執行の対象となる。
(2) 不動産執行の方法
① 強制競売
差し押えた不動産を売却し、その代金をもって債権の満足に充てる方法である。
② 強制管理
執行裁判所が選任する管理人(強制管理人)に差押不動産を管理させ、その収益によって債権の弁済に充てる方法である。
③ 両者の併用
強制競売によって売却されるまでの間、強制管理によって収益をあげる方法である。
(3) 執行裁判所
不動産執行の管轄裁判所は、不動産の所在地を管轄する地方裁判所に専属する。登記された地上権等のみなし不動産についてはその登記をすべき地の管轄地方裁判所の専属となる(民執法44条1項)。