• 民事訴訟法ー21.訴訟参加
  • 4.補助参加
  • 補助参加
  • Sec.1

1補助参加

堀川 寿和2022/02/03 13:43

補助参加

(1) 意義

 補助参加とは、訴訟の結果につき利害関係をもつ第三者が、当事者の一方を補助するため訴訟に参加することをいう(民訴法42条)。この第三者を「補助参加人」という。そして、補助される原告又は被告を「被参加人」という。なお、補助参加人は、自己の請求を定立する者ではないから当事者ではなく、この点で共同訴訟参加、独立参加と異なる。

 

       Aが保証人Bに対して、保証債務の履行を求める訴訟を

提起した場合、A・C間の訴訟にBは参加人として補助

参加することができる。

 

(2) 補助参加の要件

第三者であること

 補助参加人は訴訟当事者でないため、原告又は被告以外の第三者であることが必要である。

訴訟結果について利害関係を有すること

 この利益は法律上の利害関係でなければならないとするのが判例(大S7.2.12)通説である。したがって単なる知人、友人では参加の理由とならない。

 

(3) 補助参加の手続

① 補助参加の申出

 申出は、書面又は口頭で参加の趣旨及び参加の理由を表示し、参加して訴訟行為をなすべき裁判所へする(民訴法43条1項)。補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができる(同条2項)。上告審においてもすることができる。

② 参加の許否

a) 参加に対する異議

 当事者双方は参加申出に対し異議を述べることができ、異議を述べたときは、裁判所が、補助参加の許否について決定で裁判する。この場合、補助参加人は参加の理由を疎明しなければならないとされている(民訴法44条1項)。通常の口頭弁論のほか、弁論準備手続で補助参加の許否を決定することもできる。異議があっても参加不許の裁判が確定するまでは参加人は訴訟行為をすることができる(民訴法45条3項)。その後、参加不許の裁判が確定すると、それまでの訴訟行為は効力を失うが、当事者がそれを援用すれば効力を有する(同条4項)。

b) 異議権の喪失等

 当事者が異議を述べなければ、裁判所は参加の理由の有無を調査しないため、仮に参加の利益がなくても補助参加できる結果となる。当事者が異議を述べず弁論をし、又は弁論準備手続で申述をすれば異議権を失うことになる(同条2項)。

c) 不服申立て

 参加許可決定に対しては異議者から、不許可決定に対しては参加申出人又は被参加人から即時抗告をすることができる(民訴法44条3項)。

③ 参加申出の取下げ

 参加の申出は、被参加人や相手方の同意なくしていつでも取り下げることができる。

 

(4) 補助参加人の地位

① 独立性

 参加人は被参加人を勝訴させるために必要な一切の訴訟行為をすることができる(民訴法45条1項)。攻撃防御方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる(民訴法45条1項)。その行為は被参加人がしたのと同一の効力を生ずる。

 ただ、補助参加人がこれらの訴訟行為をするためには、訴訟能力が必要であることは言うまでもない。

② 従属性

 補助参加人は、他人間に係属している訴訟を前提にし、これに付随して訴訟を追行する者であることから、次の訴訟行為をすることはできない。

a) 参加時点ですでに被参加人ができない行為(民訴法45条1項ただし書)

 自白の撤回、時機に後れた攻撃防御方法の提出等の被参加人ができない行為については、補助参加人にもすることができない。

b) 被参加人の行為と抵触する行為(民訴法45条2項)

 参加人の訴訟行為と被参加人の訴訟行為とが矛盾・抵触するときは、参加人の訴訟行為はその限りで効力を生じない。被参加人の提起した上訴を取り下げられないし、訴権の放棄があれば上訴の提起はできない。

c) 訴訟を発生、変更、消滅させる行為

 訴えの取下げ、訴えの変更、反訴の提起、請求の放棄・認諾、訴訟上の和解、上訴権の放棄、上訴の取下げ等、訴訟そのものを発生させたり、変更・消滅させる行為はできない。

 

(5) 補助参加人に対する判決の効力(参加的効力)

① 意義

 補助参加人は訴訟当事者ではないため、判決の本来の効力である既判力や執行力を受けないが、参加人は被参加人を補助しこれと訴訟追行を共同にした以上、被参加人の敗訴の場合にその責任を被参加人だけに負わす結果になると公平に反する。そこで、被参加人が敗訴した場合、参加人に判決の判断と矛盾する主張ができないとする拘束が生ずることにした。これが判決の参加的効力である。

② 趣旨

 補助参加人も被参加人と訴訟を追行した以上、被参加人の敗訴責任を分担するのが公平であることによる。その後の被参加人と補助参加人との間の訴訟において、補助参加人は前訴の理由中の判断に反する主張をすることができないことになる。

 

         A・C間の保証債務履行請求訴訟に主たる債務者たるBが

補助参加したが、その後Cが敗訴しAに対して保証債務を

履行した。その後CがBに求償請求した場合、補助参加人

BはA・C間の訴訟の理由中で判断されたA・B間の主債務

について存在しないとの主張は許されない。

 

③ 参加的効力の範囲

 判決主文中の訴訟物についての結論のみでなく、判決理由中の判断にも及ぶとするのが判例である(最S45.10.22)。

④ 参加的効力が生じない場合

 参加的効力は、補助参加人が被参加人とともに十分主張立証の機会が与えられ、判決の形成に関与したことから認められる拘束力である。したがって、補助参加人が訴訟の追行を制約された次のような場合には、参加的効力は及ばない(民訴法46条)。

a) 参加当時の訴訟の程度に従って必要な訴訟行為が有効にできなかったとき

b) 被参加人の行為に抵触して効力を生じなかったとき

c) 被参加人が補助参加人の行為を妨げたとき

d) 被参加人が補助参加人のすることのできない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき