- 民事訴訟法ー21.訴訟参加
- 3.独立当事者参加
- 独立当事者参加
- Sec.1
1独立当事者参加
■独立当事者参加
(1) 独立当事者参加の意義
① 意義
独立当事者参加とは、第三者が、他人間に係属中の訴訟にその双方又は一方を相手どって自己の請求をもち出し、その審判を求めて当事者として参加することをいう。例えば、AからBに土地の所有権確認の訴えが提起され訴訟係属中に真の所有者は自分であるとしてCが訴訟に参加するような場合である。
② 種類
a) 詐害防止参加
訴訟の結果によって自己の権利が害されることを理由に参加する場合をいう。馴合訴訟を防止するために認められるものであるところから、詐害防止参加という。例えば、債権者と債務者とが馴合訴訟によって債務者の財産の減少を図ろうとしているときに、他の債権者が自己の権利を保全するために参加する場合などがこの例である。
b) 権利主張参加
訴訟の目的の全部又は一部が自己の権利であることを主張して参加する場合をいう。
(2) 独立当事者参加の構造
二当事者対立の枠を超えた、三当事者間の三つ巴の訴訟となるとする、三面訴訟説が判例・通説である(最S42.9.27)。
(3) 独立当事者参加の要件
① 他人間に訴訟が係属していること
訴訟が第1審又は控訴審に係属中であれば参加は許される。上告審で参加が許されるか否かについては、争いがあるが、判例は否定説の立場である(最S44.7.15)。
② 参加の利益があること
訴訟の結果によって第三者の権利が害されること(詐害防止参加)、又は訴訟の目的の全部又は一部が第三者の権利であること(権利主張参加)である。
③ 当事者の双方又は一方を相手方として自己の請求の審判を求めること
第三者が、原告又は被告の一方のみを相手方とし、これに対する請求を立てて参加する、片面的独立当事者参加も認められる(民訴法47条1項)。
(4) 独立当事者参加の手続
補助参加の申出に準ずるため、申出は参加の趣旨及び理由を示して、参加後に訴訟行為をすべき裁判所に書面でしなければならない(民訴法47条2項)。この書面は当事者双方に送達される(民訴法47条3項)。参加申出は、新訴提起の実質を有するからである。
(5) 審判
① 参加の許否の審判
裁判所は一般の訴訟要件、参加要件を調査し、その要件を欠くときは終局判決で参加申出を却下する。
② 参加訴訟の審判
1人につき中断・中止事由があれば、全訴訟手続が停止する。弁論の分離や一部判決は認められない。
(6) 二当事者訴訟への還元
次の事由によって、二当事者訴訟に還元する。
① 本訴の取下げ又は却下
参加後も原告は訴えを取り下げることができる。この場合、被告の同意のみならず、参加人の同意も要する。
判例 |
(最S60.3.15) |
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独立当事者参加の申出後、原告は被告及び参加人の双方の同意を得て訴えを取り下げることができ、それによって当該訴訟は三面訴訟関係を消失し、参加人・原告間及び参加人・被告間の単純なニ当事者訴訟関係に転化する。 |
② 参加申出の取下げ又は却下
参加人は訴えの取下げに準じて参加申出の取下げができる。この場合、当事者双方の同意が必要である。当事者は参加関係の維持に利益があるからである。
(7) 訴訟脱退
① 意義
訴訟脱退とは、独立当事者参加がなされた場合に、従来の当事者である原告及び被告がその相手方の同意を得てその訴訟から脱退することをいう。第三者の参加の結果、従前の当事者が訴訟を続ける必要がなくなることがある。例えば、AのBに対する貸金返還訴訟中に、Cが当該債権の譲受けを主張して、Aに対しては債権の存在確認を求め、Bに対しては自分こそが債権者だとして給付を求めて参加した結果、Aは相手方Bの承諾を得て脱退することができる。また、Bも、A又はCどちらが真の債権者か確定すれば支払うとして、Aの承諾を得て脱退することができる。
② 脱退の要件
従前の相手方(B又はA)の承諾を得なければならない(民訴法48条)。参加人(C)の承諾は不要とするのが判例・通説である(大S11.5.22)。
③ 脱退の効果
a) 旧訴の消滅
A・B間の旧訴の訴訟係属は消滅し、参加人と脱退者の相手方(A又はB)間の訴訟が存続する。
b) 判決効の拡張
参加者と残存当事者間の判決の効力は、脱退者にも及ぶことになる(民訴法48条後段)。