- 民事訴訟法ー19.複数請求訴訟
- 4.中間確認の訴え
- 中間確認の訴え
- Sec.1
1中間確認の訴え
■中間確認の訴え
(1) 中間確認の訴えの意義
① 意義
中間確認の訴えとは、原告又は被告が係属中の訴訟の訴訟物の先決関係にある権利関係の存否の確認を求める訴えをいう(民訴法145条1項)。家屋の明渡請求の訴え係属中に、原告がその家屋の所有権の確認を求めたり、被告が賃借権の確認を求めたりする訴えがその例である。また、利息債権の請求に対する元本債権の存否なども中間確認の訴えの対象となる。
元本については既判力が及ばないため、元本についても同一訴訟
手続の中で確認し、既判力を及ぼす。
② 趣旨
請求の判断の前提となる権利関係の存否は、判決理由中で判断されるため、原則として既判力を生じない(民訴法114条)。そこで、請求の判断の前提となる権利関係の存否についても中間確認の訴えを提起することによって既判力を得られるようにし、別訴による不経済や判断の不統一を避けられるようにとの趣旨である。
(2) 中間確認の訴えの要件
① 請求の併合の一般的要件
中間確認の訴えによって本来の請求と中間確認の請求の併合が生ずることから、次の併合の一般的要件を具備しなければならない。
a) 各請求が同種の訴訟手続で審判されるものであること(民訴法136条)
b) 法律上特に併合が禁止されていないこと
c) 各請求について受訴裁判所が管轄権を有すること
確認の請求が他の裁判所の専属管轄に属するときは中間確認の訴えは許されないが、ここでいう専属管轄には「専属的合意管轄」は含まれない
② 特別要件
a) 本来の訴訟が事実審に係属し、口頭弁論終結前であること
上告審では事実審理がなされないので許されない。
b) 先決関係にある法律関係の存否につき当事者間に争いがあること
* 中間確認の訴えでは、「訴えの変更」や後述する「反訴」と異なり訴えの提起により著しく訴訟手続を遅滞させないことは要件とされていない。
(3) 中間確認の訴えの手続
中間確認の訴えは、訴状に準じて書面でしなければならない。ただし、簡易裁判所では口頭で足りる。
時効完成猶予の効力は、書面提出時に認められる。
(4) 中間確認の訴えの審判
① 併合審理
中間確認の請求は、本訴請求と併合して審理される。
弁論の分離や一部判決は認められない。
② 本来の請求の取下げ・却下
本来の請求が取り下げられ又は却下された場合には、中間確認の訴えは却下すべきことになる。この場合には、もはや先決関係につき判断する必要がなくなるためである。ただし、先決関係につき争いが存し確認の利益がある場合には、独立の訴えと解し、従前の資料をその審判に利用して裁判できるとするのが通説である。