- 民事訴訟法ー15.終局判決
- 7.判決の成立
- 判決の成立
- Sec.1
1判決の成立
■判決の成立手続
(1) 判決内容の確定
裁判所は、審理が裁判をなすに熟したときは、口頭弁論を終結し、判決内容を確定する。判決内容の決定は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官によらなければならない(民訴法249条1項)。
(2) 判決書の作成
判決内容が確定すると、原則として判決書を作成する。判決書には、次に掲げる事項を記載しなければならない(民訴法253条1項)。
① 主文 ② 事実 事実の記載においては、請求を明らかにし、かつ、主文が正当であることを示すのに必要な主張を摘示しなければならない(同条2項)。 ③ 理由 ④ 口頭弁論の終結の日 ⑤ 当事者及び法定代理人 当事者が法人の場合、代表者も記載しなければならない。 ⑥ 裁判所 |
(3) 判決の言渡し
① 判決の効力
判決は、言渡しによってその効力を生ずる(民訴法250条)。
② 言渡しの方式
判決の言渡しは、判決書の原本に基づいてする(民訴法252条)。ただし、後述する調書判決や少額訴訟については、判決書の原本に基づかないで判決の言渡しができる(民訴法254条1項、374条2項)。
また、判決の言渡しは、言渡し期日を開いて公開の法廷でしなければならない(憲法82条1項)。
判決言渡しは、当事者の一方又は双方が期日に欠席した場合でも、また訴訟手続が中断中でもすることができる。 cf中止中は、判決言渡しはできない点と比較!
■調書判決
(1) 意義
原告の請求を認容する場合で、実質的に被告が争わない次の場合については、裁判所は判決書の原本に基づかないで判決を言い渡すことができる。これを調書判決といい、実質的に争いのない事件について迅速に判決言渡しができるメリットがある。
① 被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御方法をも提出しない場合(民訴法254条1項1号)つまり、擬制自白が成立する場合である。 ② 公示送達による呼出しを受けた被告が口頭弁論期日に出頭せず、陳述擬制を受ける準備書面も提出していない場合(民訴法254条1項2号) |
(2) 調書判決の言渡し
調書判決の言渡しは判決書の原本に基づかないで、裁判長が主文及び理由の要旨を告げてする(民訴法254条1項、民訴規155条3項)。
(3) 調書の作成
調書判決の言渡しをしたときは、裁判所は、判決書の作成に代えて、裁判所書記官に、当事者及び法定代理人、主文、請求並びに理由の要旨を、判決の言渡しをした口頭弁論期日の調書に記載させなければならない(民訴法254条2項)。
(4) 少額訴訟の判決の言渡し
少額訴訟における判決の言渡しも、判決書の原本に基づかないですることができる(民訴法374条2項)。この場合、調書判決に関する規定が準用される。