• 宅建業法ー5.業務上の規制
  • 2.誇大広告の制限と取引態様の明示
  • 誇大広告の制限と取引態様の明示
  • Sec.1

1誇大広告の制限と取引態様の明示

堀川 寿和2021/11/22 15:21

誇大広告の制限

  虚偽広告や誇大広告は一般消費者を惑わせるものであり、論外であるのはいうまでもない。宅建業法はこの点についても禁止規定を置いている。

  宅建業者は、広告を行うときは、宅地建物の所在・規模・形質、現在又は将来の利用制限・環境・交通その他の利便、代金借賃等の額又は支払方法、代金又は交換差金に関する金銭貸借のあっせんについて、著しく事実に相違する表示又は実際のものより著しく優良・有利と人を誤認させるような表示をしてはならない。


 「著しく」という文言ではあるが、一般人の通常の感覚で「何かがおかしい」という程度の誤認を生ぜしめれば、本条違反になると考えてよいとされる。「著しく」という文言を過大評価してはならない。


Point1 おとり広告、すなわち実際には存在しない物件や実際に存在しても取引の対象となり得ない物件、存在するが取引する意思のない物件についての表示は、物件の形状等に虚偽がなくても誇大広告となる。


Point2 誇大広告は「広告すること自体が違法」とされ、実際に契約をするといった損害が生じなくても業法違反である。それを信じた者が存在しなくても同様である。


Point3 利率について、アド・オン方式(実際の金利よりも半分程度に見える利率の計算方法)のみで記載し、実質金利を記載しないことも違法となる。


Point4 不動産の表示に関する公正競争規約(不動産業者の自主規制)が誇大広告か否かの判断基準になることもある。


Point5 広告は、テレビ・新聞・チラシ・ダイレクトメール等媒体を問わない。


取引態様の明示

 宅建業者は、広告をする際には取引の形態を明らかにしなければならない。取引相手が、地主の直売だと信じていたにもかかわらず、手数料を請求されて不測の損害を被るといった事態を招かないためである。

宅建業者は、取引態様の別を、
① 広告をするとき
② 注文を受けたら遅滞なく
明示しなければならない。


Point 明示の方法は口頭でもよいが、広告に明示したとしても、注文を受けたときに明示しないと本条違反となる。たとえ、相手が取引態様を知っていても明示しなければならないのである。