• 民事訴訟法ー15.終局判決
  • 1.裁判の意義
  • 裁判の意義
  • Sec.1

1裁判の意義

堀川 寿和2022/02/03 10:22

裁判の意義

 裁判とは、裁判官によって構成される裁判機関がその判断や意見を表示する訴訟行為である。

 

裁判の種類

 裁判には、「判決」・「決定」・「命令」の3種類がある。

 

(1) 主体

 判決と決定は、裁判所(合議審判であれば合議体)の裁判であるのに対し、命令は裁判長、受命裁判官・受託裁判官が特別の資格でなす裁判である。ただし、訴訟法上において「命令」という用語が使われていても、ここでいう「命令」ではなく裁判所がする裁判である場合もある。

 例えば、文書提出命令(民訴法223条)、差押命令(民執法145条)、転付命令(民執法159条)などは、命令という言葉が使われても裁判所の裁判であるため決定である。仮差押命令や仮処分命令(民保法20条、23条)も同じく決定である。

 なお、判決以外の裁判(決定・命令)は、判事補が単独ですることができる(民訴法123条)。

 

(2) 審理方法

判決

 判決では、原則として口頭弁論をしなければならない(民訴法87条1項)。

決定・命令

 一方、決定と命令では、口頭弁論を経るか否かは裁判所の裁量に任されている(同条ただし書)。

 したがって、口頭弁論を経ないでできる裁判とは、決定か命令かのどちらかであることになる。もっとも、例外的に口頭弁論を経ないで判決ができる場合もある(民訴法87条3項)。

 

(3) 告知方法

判決

 判決の場合は、原則として判決書の原本に基づいて言い渡すことが要求される(民訴法252条)。

決定・命令

 これに対し、決定・命令の場合には、相当と認める方法で告知すれば足りる(民訴法119条)。

 

(4) 不服申立方法

判決

 判決への上訴については、「控訴」「上告」が認められている。

決定・命令

 決定・命令への上訴については、「抗告」「再抗告」が認められている。

 

判決

決定

命令

主体

裁判所

裁判官

口頭弁論の開催

必要的

任意的

告知方法

判決書に基づく言渡し

相当な方法

不服申立方法

控訴・上告

抗告・再抗告

判事補

単独でできない

単独でできる