- 宅建業法ー5.業務上の規制
- 1.広告開始時期の制限
- 広告開始時期の制限
- Sec.1
1広告開始時期の制限
本章からも毎年1~2問出題されるが内容は難しくなく、常識的な判断で正解を得られる問題が少なからずある。まず一度過去問を解いてみて、引っかかる問題だけを反復して解けばよいだろう。
■広告開始時期の制限
宅建業者としては、宅地や建物はできるだけ早く売りたい。できれば、未完成のうちからでも売りたいのが本音である。不動産は、半年、1年と売れないこともあるのである。したがって、「できれば設計図ができた段階で売り出したい」と思う業者は少なくない。
しかし、買う方としては逆に、できれば実物を見た上で買いたいと思うものである。そこまででなくとも、せめて設計図どおりの物件が出来上がる保証がないと、取引をしたくはない。そこで、業者が未完成物件についての広告を開始できる時期は、あまり早すぎないように規制がおかれている。
宅建業者は、宅地の造成または建物の建築に関する工事の完成前においては、開発許可、建築確認等の処分があった後でなければ、広告をしてはならない。 |
建築確認や許可等の処分があれば、工事者は許可どおりのものしか建てられなくなるので、一般消費者も設計図どおりのものができ上がると信じてよいのである。
なお、広告開始時期の制限は未完成物件を対象としているので、完成物件であれば適用はない。
『開発許可』とは、都市計画区域内で行う一定の宅地造成工事等に知事の許可を要するというものであり(都市計画法29条)、『建築確認』とは、建築行為について、一定の場合に、建築主事の確認が必要となるというものである(建築基準法6条)。
Point1 処分には、開発許可、建築確認のほかに、農地法上の権利移動・転用等の許可、宅地造成等規制法上の宅地造成工事の許可、風致地区内・都市計画事業地内の建築等の制限についての許可等がある。
Point2 「広告開始時期の制限」は、すべての取引の態様について適用される。後述の「契約締結時期の制限」では、「貸借の代理・媒介」については制限の適用がないが、それとは異なることに注意。