- 民事訴訟法ー12.証明責任
- 2.証明責任の分配
- 証明責任の分配
- Sec.1
1証明責任の分配
■証明責任の分配
(1) 証明責任の対象
立証責任の分配とは、どの主要事実についてどちらの当事者が挙証責任を負うかについての定めをいう。
(2) 立証責任分配の基準
① 権利根拠規定 権利の発生を定める法規(権利根拠規定)の要件事実は、その権利を主張する者が証明責任を負う。 ② 権利障害規定 権利根拠規定に基づく法律効果の発生を障害する法規(権利障害規定)の要件事実は、その法律効果の発生を争う者に証明責任がある。 ③ 権利消滅規定 いったん発生した権利関係の消滅を規定した法規(権利消滅規定)の要件事実は、権利を否認する者に立証責任がある。 |
例えば、貸金請求訴訟において、消費貸借契約の成立(返還の合意と金銭の交付)については①にあたる事実として債権者(原告)が証明責任を負い、弁済の事実は③にあたる事実として、また錯誤による契約の取消しについては②にあたる事実として、それぞれ債務者(被告)が証明責任を負う。
金銭消費貸借契約の成立要件事実である金銭の授受と返還の約束については原告であるAが、反対法規の定める弁済、消滅時効の完成などについては被告であるBが証明責任を負う。
また錯誤・詐欺・強迫による契約の取消しなどの権利障害規定についても被告であるBが証明責任を負う。