(1) 証明責任の意義

 証明責任とは、ある事実の真意が不明な場合に、その事実は存在しないとの取扱いを受ける当事者の一方の危険又は不利益をいう。立証責任又は挙証責任ともいう。

(2) 立証責任の趣旨

 証拠調べの結果や弁論の全趣旨を斟酌しても裁判官が心証形成に至らない場合もある。そのような場合、当事者のいずれか一方に立証責任を負わせて、立証に成功すればその事実が存在することになり、逆に立証できなければその事実が存在しないこととして、事実が存否不明な場合にも裁判ができるようにするための法技術である。

(3) 証明責任の対象

 立証責任が問題となるのは主要事実である。したがって、間接事実、補助事実は証明責任の対象とはならない。