- 民事訴訟法ー8.口頭弁論の準備
- 2.準備書面
- 準備書面
- Sec.1
1準備書面
■準備書面の意義
準備書面とは、当事者が口頭弁論において陳述しようとする攻撃防御方法や相手方当事者の攻撃防御方法に対する応答を記載した書面をいう。被告の最初の準備書面を特に答弁書と呼ぶ(民訴規80条)。なお、訴状に攻撃・防御方法が記載されていれば、その限度で準備書面としての役割を果たすことになる(民訴規53条3項)。
■準備書面の交換
(1) 準備書面の必要性
口頭弁論は、書面で準備しなければならない(民訴法161条1項)。裁判長は準備書面等の提出の期間を定めることができる(民訴法162条)。なお、簡易裁判所においては、訴えの提起が口頭でできる関係上、準備書面の提出は不要である(民訴法276条1項)。
(2) 準備書面の提出及び直送
答弁書その他の準備書面は、これに記載した事項について相手方が準備をするのに必要な期間をおいて、裁判所に提出しなければならず(民訴規79条1項)、またそれを相手方のみ直送しなければならない(民訴規83条1項)。準備書面の提出及び直送は、ファクシミリを用いてすることができる。
■準備書面提出・不提出の効果
(1) 不提出・不記載の効果
準備書面に記載されていない事実については、相手方が在廷しないときは、口頭弁論で主張することはできない(民訴法161条3項)。陳述を許すと予告されていない事項について、欠席当事者は反論の機会を奪われ自白が擬制されることになり、不公平だからである。ただ、相手方が在廷する場合には、準備書面に記載のない事項でも主張することができるが、予告がなかったため、相手方が即答できず、その結果続行期日が必要となった場合には、当事者は勝訴してもこれに要した訴訟費用の負担を命じられることがある(民訴法63条)。
(2) 提出の効果
準備書面を提出しておけば、相手方が欠席してもその記載事実の主張をすることができる。また、準備書面を提出しておけば、自らが最初の口頭弁論期日に欠席しても相手方が出頭していればその記載事項は陳述したものとみなされる(民訴法158条 陳述擬制)。弁論準備手続においても、裁判所は当事者に準備書面を提出させることができ、原告又は被告が最初の期日に欠席又は弁論をしない場合には陳述擬制が認められる(民訴法170条5項⇒158条)。