• 民事訴訟法ー3.訴訟の客体
  • 1.請求(訴訟上の請求)
  • 請求(訴訟上の請求)
  • Sec.1

1請求(訴訟上の請求)

堀川 寿和2022/01/31 16:36

請求の意義

 原告の被告に対する権利主張を請求という。民事訴訟は、原告・被告間で権利・義務の存否や範囲、法律関係の有無をめぐって争いがあり、原告が主張する権利を被告が否定することにより生ずる。

 そして、その存否を裁判所の判断に委ねることになる。この原告の被告への権利主張を裁判所に認めてくれという申立てが訴えであり、裁判所は法を適用して原告の主張する権利の存否を判断する。

 裁判所はこの原告の権利主張をめぐって審判をするのであり、これが審判の対象(訴訟の主題)となる。それが訴訟の目的物になるという意味で訴訟物ともいう。「請求=審判の対象=訴訟の目的=訴訟物」ということになる。裁判所が原告の権利主張が認められると判断すれば原告の勝訴となる請求認容判決をし、認められないと判断すれば原告の敗訴となる請求棄却判決をする。訴訟要件を欠くなどして、訴え自体を不適法として取り上げない場合が訴え却下に対する。

原告による請求の定立

 上記のように、訴えは原告の裁判所に対する申立てであるため、原告が請求を定立しなければならない。つまり、原告は裁判所に対し、被告がどこの誰で、どのような権利義務ないし法律関係(訴訟物)について争いがあり、それにつきどのような内容の判決を求めているのかを明らかにして申立てなければならず、訴状においてこれらの事項を明らかにして申し立てる必要がある(民訴法133条2項)。裁判所は原告の提示した訴訟物について裁判することになり、申立てがない事項については審理することはできない(民訴法246条)。