- 商業登記法ー26.社員に関する登記
- 2.持分の譲受けによらない社員の加入
- 持分の譲受けによらない社員の加入
- Sec.1
1持分の譲受けによらない社員の加入
■持分の譲受けによらない社員の加入
(1) 手続
① 総社員の同意
持分会社の社員の加入は、加入しようとする者と会社との間の入社行為によって行われる。持分の譲渡による社員の加入の際と同様に、定款の絶対的記載事項(社員の氏名又は名称及び住所)に変更を生ずるため、定款に別段の定めがある場合を除き総社員の同意を必要とする。(会社法637条)
② 出資の履行
(イ)合名会社、合資会社
出資の履行の有無を問わず、加入に係る定款の変更をしたときに社員の加入の効力が生じる。(会社法604条2項)
(ロ)合同会社
新たに社員となろうとする者が定款の変更をした時にその出資に係る払込み又は給付の全部又は一部を履行していないときは、その者は、当該払込み又は給付を完了した時に、合同会社の社員となる。(会社法604条3項)
③ 資本金の額の増加
社員が出資の履行をした場合には、合同会社の資本金の額は、原則として、社員になろうとする者が履行した出資により払込み又は給付がされた財産の額の範囲内で、持分会社が資本金の額に計上するものと定めた額が増加する。(会計規30条1項1号)
(2) 登記申請手続
① 変更登記事項
合名会社及び合資会社では「社員の氏名又は名称及び住所」が登記事項であるため、加入した社員を新たな社員として登記しなければならない。
一方、合同会社では「業務を執行する社員の氏名又は名称」が登記事項であるため、加入する社員が業務執行社員になる場合にのみ登記をすることになる。また合同会社の社員が出資を履行した場合に資本金の額が増加したときには、資本金の額の変更登記を申請しなければならない。
② 添付書類
(イ)総社員の同意書
(ロ)法人である杜員の加入にあっては、次に掲げる書面
a) 当該法人の登記事項証明書
ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の本店又は主たる事務所がある場合と会社法人等番号を申請書に記載した場合には、不要となる。
b) 当該法人の職務執行者の選任に関する書面
c) 当該法人の職務執行者が就任を承諾したことを証する書面
* なお、加入した法人社員が代表社員以外の法人である場合には、a) の書面のみで足りる。
(ハ)合資会社の有限責任社員の加入にあっては、「出資の履行があったことを証する書面」
(ニ)合同会社にあっては、次に掲げる書面
a) 出資に係る払込み又は給付があったことを証する書面
b) 資本金の額が増加したときは、増加すべき資本金の額につき業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面並びに資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面
(ホ)代理人によって申請する場合、「委任状」
新たな出資によって合資会社の有限責任社員が加入した場合の登記 申請書 記載例
登記の事由
有限責任社員の加入
登記すべき事項
平成何年何月何日次の者加入
何県何市何丁目何番何号
金何万円 全部履行
有限責任社員 D
登録免許税
金3万円(1万円)
添付書類
総社員の同意書 1通
出資の履行があったことを証する書面 1通
委任状 1通
新たな出資によって合同会社の業務執行社員が加入し、資本金の額も増加した場合
登記の事由
業務執行社員の加入及び資本金の額の変更
登記すべき事項
平成何年何月何日業務執行社員F加入
同日変更
資本金の額 金何万円
登録免許税
金3万円(1万円)
*資本金の額が増加した場合、増加資本の額に1000分の7を乗じた額を追加
(これによって計算した税額が3万円に満たない場合には、金3万円)
添付書類
総社員の同意書 1通
出資に係る払込み又は給付があったことを証する書面 1通
業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面 1通
資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面 1通
委任状 1通