- 商業登記法ー26.社員に関する登記
- 1.持分の譲渡による社員の変更
- 持分の譲渡による社員の変更
- Sec.1
1持分の譲渡による社員の変更
■持分の譲渡による社員の変更
(1) 手続
社員の種類に応じて次のとおり社員の承諾がなければ、持分を他人に譲渡することはできない。
① 無限責任社員
譲渡人を除く、他の社員全員の承諾が必要である。
② 業務執行権を有する有限責任社員
譲渡人を除く、他の社員全員の承諾が必要である。
③ 業務執行権を有しない有限責任社員
業務執行権を有する社員全員の承諾で足りる。
(2) 定款変更
社員の氏名又は名称及び住所は持分会社の定款の絶対的記載事項であるため、持分の譲受により新たな社員が加入する場合、定款変更をしなければならない。定款変更の要件は次のとおりである。
① 無限責任社員
総社員の同意が必要である。
② 業務執行権を有する有限責任社員
総社員の同意が必要である。
③ 業務執行権を有しない有限責任社員
業務執行権を有する社員全員の承諾で足りる。
(3) 登記申請手続
① 手続
(イ)合名会社、合資会社
合名会社、合資会社では「社員の氏名又は名称及び住所」が登記事項であるため、譲受人を新たな社員として登記しなければならない。
(ロ)合同会社
一方、合同会社では「業務を執行する社員の氏名又は名称」のみが登記事項であるため、新たに加入する社員が業務執行社員になる場合にのみ登記を申請することになる。
② 添付書面
(イ)持分譲渡の事実を証する書面
「持分譲渡契約書」及び「総社員の同意があったことを証する書面」等を添付する。
なお、業務執行権を有しない有限責任社員の持分の譲受けによる場合には、持分の譲渡契約書のほか、「譲渡された持分が業務を執行しない社員に係るものであることを証する書面」(具体的には、変更前の定款)及び「業務執行権を有する社員全員の同意があったことを証する書面」等を添付しなければならない。
(ロ)法人である社員の加入の場合には、次に掲げる書面
a) 当該法人の登記事項証明書
ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の本店又は主たる事務所がある場合と会社法人等番号を申請書に記載した場合には、不要となる。
b) 当該法人の職務執行者の選任に関する書面
c) 当該法人の職務執行者が就任を承諾したことを証する書面
* なお、加入した法人社員が代表社員以外の法人である場合には、a) の書面のみで足りる。
(ハ)代理人によって申請する場合、「委任状」
③ 登録免許税
登録免許税は、申請1件につき金3万円(合名会社、合資会社及び資本金の額が金1億円以下の合同会社については、金1万円)である。(別表一、二十四(一)力)
出資の履行により合同会社の資本金の額が増加した場合にあっては、更に、これに係る登録免許税(増加した資本金の額×1000分の7 (これによって計算した税額が金3万円に満たない場合には、金3万円))を加算した額である。(別表一、二十四(一)ニ)
合資会社における持分の譲渡による変更登記 申請書 記載例 (社員以外の者に譲渡した場合)
登記の事由
無限責任社員の退社及び加入
登記すべき事項
平成何年何月何日無限責任社員A退社
同日次の者加入
何県何市何丁目何番何号
無限責任社員 D
登録免許税
金3万円(1万円)
添付書類
持分譲渡契約書 1通
総社員の同意書 1通
委任状 1通
合資会社における持分の譲渡による変更登記 申請書 記載例 (他の社員に譲渡した場合)
登記の事由
無限責任社員の退社
登記すべき事項
平成何年何月何日無限責任社員A退社