- 商業登記法ー14.新株予約権の発行に関する登記
- 5.新株予約権の消滅
- 新株予約権の消滅
- Sec.1
1新株予約権の消滅
■新株予約権の消却
(1) 意義
株式会社は、自己新株予約権を消却することができる。(会社法276条1項)
(2) 消却の手続き
会社は、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)により、自己新株予約権を消却することができる。この場合においては、消却する自己新株予約権の内容及び数を定めなければならない。(会社法276条1項)
(3) 新株予約権の消却による変更登記手続
① 登記期間
消却の効力が生じた日から2週間以内に変更登記をしなければならない。(会社法915条1項)
② 登記の事由
「新株予約権の消却」と記載する。(H14.3.29民商724号)
③ 登記事項
(イ)一部消却があった場合
次の事項及びその変更年月日
a) 新株予約権の数
新株予約権の数は、消却された新株予約権の数だけ減少する。
b) 新株予約権の目的である株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)消却された新株予約権の目的である株式の数に相当する部分が減少する。
(ロ)新株予約権の全部消却があった場合
新株予約権の全部が消却された場合には、当該新株予約権は消滅することになるため、上記a) b) の事項の変更に代えて、「新株予約権全部消却の旨及びその変更年月日」を登記し、当該新株予約権の登記を抹消する。
④ 添付書面
(イ)取締役の過半数の一致があったことを証する書面又は取締役会議事録
(ロ)代理人の申請による場合は、委任状
⑤ 登録免許税
金3万円(ツ)
新株予約権の一部消却による変更の登記 申請書 記載例
(新株予約権10個のうち1個消却した場合)
登記の事由
新株予約権の消却
登記すべき事項
平成何年何月何日次のとおり変更(*1)
第1回新株予約権
新株予約権の数 9個
新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法
普通株式 450株
登録免許税
金3万円(ツ)
添付書類
取締役会議事録 1通
委任状 1通
(*1)新株予約権の失効手続きが終わった日を記載する。
完了後の登記記録
新株予約権 |
第1回新株予約権 新株予約権の数 10個 9個 平成年月日変更 平成年月日登記 新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法 普通株式 500株 普通株式 450株 平成年月日変更 平成年月日登記 募集新株予約権の払込金額もしくはその算定方法又は払込を要しないとする旨 無償 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法 100万円 金銭以外の財産を各新株予約権の行使に際して出資する旨並びに内容及び価額証券取引所に上場されている有価証券であって、当該証券取引所の開設する市場における当該新株予約権の行使の前日の最終価格により算定して100万円に相当するもの 新株予約権を行使することができる期間 平成何年何月何日まで |
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平成年月日発行 |
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平成年月日登記 |
新株予約権の全部消却による変更の登記 申請書 記載例 (新株予約権10個全部消却した場合)
登記の事由
新株予約権の消却
登記すべき事項
平成何年何月何日第1回新株予約権全部消却
登録免許税
金3万円(ツ)
添付書類
取締役会議事録 1通
委任状 1通
(*1)新株予約権の失効手続きが終わった日を記載する。
完了後の登記記録
新株予約権 |
第1回新株予約権 新株予約権の数 10個 新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法 普通株式 500株 募集新株予約権の払込金額もしくはその算定方法又は払込を要しないとする旨 無償 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法 100万円 金銭以外の財産を各新株予約権の行使に際して出資する旨並びに内容及び価額証券取引所に上場されている有価証券であって、当該証券取引所の開設する市場における当該新株予約権の行使の前日の最終価格により算定して100万円に相当するもの 新株予約権を行使することができる期間 平成何年何月何日まで |
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平成年月日発行 |
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平成年月日登記 |
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平成年月日新株予約権全部消却 平成年月日登記 |
■新株予約権の行使期間の満了による変更登記
(1) 新株予約権の行使期間の満了の意義
新株予約権の発行決議において、新株予約権の行使期間を定めることができ、その期間が満了することによって新株予約権は消滅する。
(2) 新株予約権の行使期間の満了による変更登記手続
① 登記期間
新株予約権の行使期間の満了の日から2週間以内に変更登記をしなければならない。(会社法915条1項)
② 登記の事由
「新株予約権の行使期間満了」と記載する。
③ 登記事項
新株予約権の行使期間が満了した旨及びその年月日である。年月日は、行使期間の満了日の翌日を記載する。
④ 添付書面
代理人によって申請する際の「委任状」を除き、添付不要である。(H14. 3.29民商724号)新株予約権の行使期間は登記事項であるため、登記簿上明らかであるからである。
⑤ 登録免許税
金3万円(ツ)
新株予約権の行使期間満了による変更の登記 申請書 記載例
登記の事由
新株予約権の行使期間満了
登記すべき事項
平成何年何月何日第1回新株予約権の行使期間満了(*1)
登録免許税
金3万円(ツ)
添付書類
委任状 1通
(*1)新株予約権の行使期間の満了日の翌日を記載する。
完了後の登記記録
新株予約権 |
第1回新株予約権 新株予約権の数 10個 新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法 普通株式 500株 募集新株予約権の払込金額もしくはその算定方法又は払込を要しないとする旨 無償 新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法 100万円 金銭以外の財産を各新株予約権の行使に際して出資する旨並びに内容及び価額証券取引所に上場されている有価証券であって、当該証券取引所の開設する市場における当該新株予約権の行使の前日の最終価格により算定して100万円に相当するもの 新株予約権を行使することができる期間 平成何年何月何日まで |
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平成年月日発行 |
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平成年月日登記 |
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平成年月日行使期間満了 平成年月日登記 |
■その他の理由による新株予約権の消滅
(1) 意義
新株予約権の消却や行使期間の満了のほか、新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は、消滅する。(会社法287条)例えば、新株予約権の発行の際に定めた新株予約権の行使条件を満たさなくなったような場合である。
(2) 新株予約権の消滅による変更登記手続
① 登記期間
新株予約権の消滅の日から2週間以内に変更登記をしなければならない。(会社法915条1項)
② 登記の事由
「新株予約権の消滅」と記載する。
③ 登記事項
新株予約権が消滅した旨及びその年月日である。
④ 添付書面
代理人によって申請する際の「委任状」を除き、添付不要である。
⑤ 登録免許税
金3万円(ツ)
新株予約権の消滅の登記申請書 記載例
新株予約権の行使条件を取締役であることとする新株予約権を取締役に発行している会社の取締役の一部が取締役でなくなったため、新株予約権の一部が消滅した場合(一部消滅)
登記の事由
新株予約権の消滅
登記すべき事項
平成何年何月何日次のとおり変更
第1回新株予約権
新株予約権の数 9個
新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法
普通株式 450株
登録免許税
金3万円(ツ)
添付書類
委任状 1通
新株予約権の行使条件を取締役であることとする新株予約権を取締役に発行している会社の取締役の全員が取締役でなくなったため、新株予約権の全部が消滅した場合(全部消滅)
登記の事由
新株予約権の消滅
登記すべき事項
平成何年何月何日第1回新株予約権全部消滅
登録免許税
金3万円(ツ)
添付書類
委任状 1通
新株予約権の放棄の登記申請書 記載例(新株予約権10個のうち1個分の放棄があった場合)
登記の事由
新株予約権の放棄
登記すべき事項
平成何年何月何日次のとおり変更
第1回新株予約権
新株予約権の数 9個
新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法
普通株式 450株
登録免許税
金3万円(ツ)
添付書類
委任状 1通
新株予約権の放棄の登記申請書 記載例(全部放棄の場合)
登記の事由
新株予約権の放棄
登記すべき事項
平成何年何月何日第1回新株予約権全部放棄
登録免許税
金3万円(ツ)
添付書類
委任状 1通