- 商業登記法ー8.機関に関する登記
- 9.変更の登記
- 変更の登記
- Sec.1
1変更の登記
■取締役等の住所・氏名等の変更登記
(1) 氏名の変更登記
① 意義
取締役、代表取締役、会計参与、監査役、会計監査人、一時会計監査人の職務を行うべき者(仮会計監査人)、特別取締役、監査等委員である取締役、委員、執行役及び代表執行役はその氏名が登記事項であるため、婚姻、養子縁組、離婚、離緑、改名、商号変更などによりその氏名・名称を変更したときは、その変更登記をしなければならない。
② 登記申請手続
(イ)登記の目的
「取締役の氏名変更」「監査役の氏名変更」などのように、氏名変更する役員等の肩書を明示する。
(ロ)登記すべき事項
登記すべき事項のうち、変更原因は、婚姻であると離婚であると養子縁組であるとを問わず、「氏名変更」とする。
(ハ)添付書面
変更を証する書面は、それを添付する規定がないため添付を要しない。
(ニ)登録免許税
役員変更登記分 金3万円(資本金の額が1億円以下の会社の場合は1万円)(カ)
取締役(監査役)の氏名変更の登記 申請書 記載例
登記の事由 取締役の氏名変更
監査役の氏名変更
登記すべき事項 平成何年何月何日取締役甲野花子の氏名変更
氏名 乙野花子
平成何年何月何日監査役丁野洋子の氏名変更
氏名 戊野洋子
登録免許税 金3万円(資本金の額が1億円以下の会社の場合は、金1万円) (カ)
添付書類 委任状 1通
代表取締役の氏名変更の登記 申請書 記載例
登記の事由 代表取締役たる取締役の氏名変更
登記すべき事項 平成何年何月何日代表取締役たる取締役法務一郎の氏名変更
氏名 登記一郎
(2) 住所の変更登記
① 意義
代表取締役及び代表執行役は、氏名のほか住所が登記事項であるため、住所移転や住居表示の実施等により住所に変更が生ずれば、その変更登記が必要となる。なお、行政区画又はその名称変更による住所の変更は、その変更による登記があったものとみなされるため、変更の登記申請を要しない。一方、住居表示の実施は、行政区画又はその名称変更には該当しないため、変更登記の申請が必要となる。(T13. 3. 26民事5429号)
② 登記申請手続
(イ)登記の目的
「代表取締役の住所変更」又は「代表執行役の住所変更」と記載する。
なお、住居表示による住所変更の場合には、「住居表示による代表取締役の住所変更」等と記載する。
(ロ)登記すべき事項
変更後の住所及び変更年月日を記載する。
(ハ)添付書面
変更を証する書面は、それを添付する規定がないため添付を要しない。
なお、住居表示実施による住所変更の場合には、住居表示実施証明書を添付すれば非課税となる。(登録免許税法第5条第4号)
(ニ)登録免許税
役員変更登記分 金3万円(資本金の額が1億円以下の会社の場合は1万円)(カ)
代表取締役の住所変更の登記 申請書 記載例
登記の事由 代表取締役の住所変更
登記すべき事項 平成何年何月何日代表取締役甲野太郎の住所変更
住所 何県何市何町何丁目何番何号
登録免許税 金3万円(資本金の額が1億円以下の会社の場合は、金1万円) (カ)
添付書類 委任状 1通
住居表示実施による代表取締役の住所変更の登記 申請書 記載例
登記の事由 住居表示による代表取締役の住所変更
登記すべき事項 平成何年何月何日代表取締役甲野太郎の住所変更
住所 何県何市何町何丁目何番何号
登録免許税 登録免許税法第5条第4号
添付書類 証明書 1通
委任状 1通
登研 |
(質疑登研412号‐167) |
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死亡による退任登記申請の場合、死亡を証する書面の住所又は氏名が登記簿上の氏名と一致しないときは、その申請は必要な書面を添付しない場合として却下されることになるため、住所又は氏名の変更・更正登記の申請が必要となる。 |
(3) 会計参与、会計監査人の氏名・名称の変更
① 意義
会社は、会計参与、会計監査人の氏名・名称に変更があったときは、その変更の登記をしなければならない。氏名の変更は婚姻等によって生じ、名称の変更は、当該法人である会計参与・会計監査人の商号変更等により生じる。
② 登記申請手続
(イ)登記の目的
「会計参与(会計監査人)の氏名変更」「会計参与(会計監査人)の名称変更」と記載する。
(ロ)登記すべき事項
変更後の氏名(名称)及び変更年月日を記載する。
(ハ)添付書面
a) 個人の会計参与、会計監査人の氏名の場合
個人である会計参与又は会計監査人の氏名に変更があった場合は、委任状以外の添付書面を要しない。
b) 法人である会計参与又は会計監査人(仮会計監査人を含む)の名称の変更の場合
法人である会計参与又は会計監査人(仮会計監査人を含む)の名称の変更の登記には、当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合を除き、当該法人の登記事項証明書を添付しなければならない。(商登法54条3項・2項2号)ただし、その法人の主たる事務所が、申請会社の本店を管轄する登記所の管轄区域内にあるとき(商登法54条2項2号ただし書)又は申請書に当該法人の会社法人等番号を記載した場合(商登法19条の3)には、登記事項証明書の添付は不要である。
c) 代理人によって申請する場合の「委任状」
(ニ)登録免許税
役員変更登記分 金3万円(資本金の額が1億円以下の会社の場合は1万円)(カ)
会計参与(会計監査人)の氏名変更登記 申請書 記載例
登記の事由
会計参与(会計監査人)の氏名変更
登記すべき事項
平成何年何月何日会計参与(会計監査人)監査花子の氏名変更
氏名 会計花子
登録免許税
金3万円(1万円)
添付書類
委任状 1通
会計参与(会計監査人)の名称変更登記 申請書 記載例
登記の事由
会計参与(会計監査人)の名称変更
登記すべき事項
平成何年何月何日会計参与(会計監査人)M監査法人の名称変更
名称 N監査法人
登録免許税
金3万円(1万円)
添付書類
登記事項証明書 1通
委任状 1通
(4) 会計参与の計算書類等の備置き場所の変更
① 意義
計算書類は会計参与の事務所等の中から会計参与報告等備置き場所を定めなければならず、また備置き場所は登記事項であるため、変更があった場合にはその変更登記をしなければならない。なお、備置き場所は会計参与の事務所等の中から、会計参与設置会社の本店及び支店以外の場所を選択することになる。
② 登記申請手続
(イ)登記の事由
「会計参与の計算書類等の備置き場所の変更」と記載する。「会計参与の変更」でもよいとされる。
(ロ)登記すべき事項
計算書類等の備置き場所の変更の旨及び変更年月日である。
③ 添付書面
委任状以外の添付書面は不要であり、計算書類等の備置き場所の変更を証する書面は特に要求されない。(H18. 3.31民商782号)
④ 登録免許税
登録免許税額は、申請1件につき3万円(資本金の額が1億円以下の会社については、1万円)である。(カ)
会計参与の書類等備置場所の変更登記 申請書 記載例
登記の事由
会計参与の書類等備置場所の変更(会計参与の変更)
登記すべき事項
平成何年何月何日会計参与ABC税理士法人の書類等備置場所の変更
何県何市何町何丁目何番何号
登録免許税
金3万円(1万円)
添付書類
委任状 1通