- 商業登記法ー7.役員・会計監査人に関する登記
- 1.株主総会以外の機関
- 株主総会以外の機関
- Sec.1
1株主総会以外の機関
■機関設計に関する登記
会社がどのような機関設計を採用しているのかは登記事項とされている。したがって、機関設計に変更があれば、その変更登記が必要となる。
① 取締役会に関する登記
取締役会設置会社である旨が登記すべき事項とされる。(会社法911条3項15号)
② 会計参与に関する登記
会計参与設置会社である旨、会計参与の氏名又は名称及び会社法378条1項の場所(計算書類等の備置き場所)が登記すべき事項とされる。(会社法911条3項16号)
③ 監査役に関する登記
監査役設置会社である旨、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社であるときは、その旨及び監査役の氏名が登記すべき事項とされる。(会社法911条3項17号)ここでいう「監査役設置会社」とは、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。(会社法2条9号、911条3項17号)
④ 監査役会に関する登記
監査役会設置会社である旨及び監査役のうち社外監査役である者につき社外監査役である旨が登記すべき事項とされる。(会社法911条3項18号)
⑤ 会計監査人に関する登記
会計監査人設置会社である旨及び会計監査人の氏名又は名称が登記すべき事項とされる。(会社法911条3項19号)
⑥ 特別取締役の議決に関する定めに関する登記
特別取締役の議決に関する定めがあるときは、その旨、特別取締役の氏名及び取締役のうち社外取締役である者について社外取締役である旨が登記すべき事項とされる。(会社法911条3項21号)
⑦ 監査等委員会設置会社に関する登記
監査等委員会設置会社であるときは、その旨、監査等委員である取締役及びそれ以外の取締役の氏名、取締役のうち社外取締役であるものについては社外取締役の旨並びに取締役会の決議によって重要な業務執行の決定の取締役への委任についての定款の定めがあるときはその旨が登記事項とされる。(会社法911条3項22号)
⑧ 指名委員会等設置会社に関する登記
指名委員会等設置会社であるときは、その旨、各委員会の委員の氏名及び執行役の氏名並びに代表執行役の氏名及び住所、取締役のうち社外取締役である者について社外取締役である旨が登記すべき事項とされる。(会社法911条3項23号)
■機関設計の基本原則
会社法は機関設計について、各会社の実態に応じて定款の定めによって自由に機関を選択することができるのを原則とするが、同時に次のとおり最低限度の基本ルールを定め、一定の機関の設置を義務づける。(会社法326条、327条、328条)
① 株式会社には、1人又は2人以上の取締役を置かなければならない。(会社法326条1項)
すなわちすべての株式会社には、株主総会のほか最低でも1名以上の取締役が置かれることになる。
② 株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、監査等委員会又は指名委員会等を置くことができる。(会社法326条2項)
③ 次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。(会社法327条)
(イ)公開会社
公開会社とは、その発行する株式すべての株式に譲渡制限に関する定款の定めを設けている会社以外の会社である。
(ロ)監査役会設置会社
(ハ)監査等委員会設置会社
(二)指名委員会等設置会社
④ 取締役会設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。(会社法327条2項)
⑤ 会計監査人設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。(会社法327条3項)
⑥ 監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならない。(会社法327条4項)
⑦ 監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、会計監査人を置かなければならない。(会社法327条5項)
⑧ 指名委員会等設置会社は、監査等委員会を置いてはならない。(会社法327条6項)
⑨ 大会社(公開会社でないもの、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。(会社法328条1項)
⑩ 公開会社ではない大会社は、会計監査人を置かなければならない。(会社法328条2項)