• 商業登記法ー6.株式に関する登記
  • 6.単元株式数
  • 単元株式数
  • Sec.1

1単元株式数

堀川 寿和2022/01/27 15:10

単元株式数の設定

(1) 単元株式数の意義

 単元株式数とは、株式会社がその発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において1個の議決権を行使することができる1単元の株式とする旨の定款の定めを設けている場合における当該一定の数をいう。(会社法2条20項)例えば、定款で単元株式数を10と定めると、10株を有する株主が株主総会又は種類株主総会において1個の議決権を行使することができることになる。単元株式数についての定款の定めがあるときは、その単元株式数が登記事項とされる。(会社法911条3項8号)種類株式発行会社においては、単元株式数は、株式の種類ごとに定めなければならない。(会社法188条条3項)各種類ごとに単元株式数が違っていてもよい。

 

(2) 単元未満株式

 単元株式数に満たない数の株式(単元未満株式)を有する株主(単元未満株主)は、その有する単元未満株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使することができない。(会社法189条1項 )

 

(3) 単元株式数の上限

 会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において1個の議決権を行使することができる1単元の株式とする旨を定款で定めることができる(会社法188条1項 )が、この一定の数は、1000及び発行済株式の総数の200分の1に当たる数を超えることはできない。(法務省令34条)つまり、1単元の株式の数は、発行済株式の総数の200分の1又は1000いずれか小さい方より少ない数でなければならない。

 

(4) 実体手続

① 原則(株主総会特別決議)

 会社が定款を変更して、単元株式数についての定款の定めを新設する場合には、原則として株主総会の特別決議を要する。

② 例外(取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議))

 会社は、次のいずれにも該当する場合には、株主総会の決議に代えて、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)により、単元株式数(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式の単元株式数)を増加し、又はこれについての定款の定めを設ける定款の変更をすることができる。(会社法191条)

(イ)株式の分割と同時にするものであること

(ロ)定款の変更の前後において各株主の議決権の数が減少しないこと

③ 種類株主総会議事録

 単元株式数についての定款の定めを新設する場合において、ある種類の株式の株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の特別決議を経なければならない。(会社法322条1項2号、324条2項4号)

 なお、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、種類株主総会決議は不要である。(会社法322条1項ただし書)また、定款にある種類の株式の内容として、当該種類株主総会決議を要しない旨が規定されているときは、種類株主総会決議は不要となる。(会社法322条3項)

 

(5) 登記申請手続

① 登記の事由

 「単元株式数の設定」と記載する。

② 登記すべき事項

 単元株式数及び設定の旨並びに設定年月日

③ 添付書面

(イ)決議を証する「株主総会議事録」「種類株主総会議事録」「取締役会議事録」「取締役の過半数の一致を証する書面」を必要に応じて添付する。

(ロ)株主リスト

 株主総会決議と種類株主総会議事録が添付書類となる場合にあわせて添付する。

(ハ)代理人によって申請する場合の「委任状」

④ 登録免許税

 金3万円(登録免許税別表1、24、(1)ツ)

⑤ 登記期間

 定款変更の効力発生日から本店所在地において2週間以内である。

 

  単元株式数の設定 登記 申請書 記載例        (種類株式発行会社でない会社) 

登記の事由  単元株式数の設定

登記すべき事項  平成何年何月何日 設定

         単元株式数 ○○株

登録免許税  金3万円(ツ)

添付書類  株主総会議事録(又は取締役会議事録もしくは取締役の過半数の一致を証する書面)                                                      1通)

        (種類株主総会議事録                    1通)

        (株主リスト                        ○通)

委任状                          1通

 

  単元株式数の設定 登記 申請書 記載例             (種類株式発行会社)

登記の事由  単元株式数の設定

登記すべき事項  平成何年何月何日 設定

         単元株式数 普通株式 ○○株

               優先株式 ○○株

 

    完了後の登記記録           

単元株式数

○○株

平成年月日設定

平成年月日登記

 

単元株式数の変更(廃止)

(1) 実体手続

① 減少又は廃止の場合(取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)

 例えば、単元株式数を定款で10株と定めている会社が5株に減少したり、もしくは単元株式数についての定めを廃止するような場合である。この場合、株主の議決権は増加する結果となるため、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、定款を変更して単元株式数を減少し、又は単元株式数についての定款の定めを廃止することができる(会社法195条1項)

② 増加の場合(株主総会特別決議)

 一方、単元株式数を10株から20株に増加するような場合には、株主の議決権は減少する結果となるため、単元株式数の設定の場合と同様に株主総会の特別決議を要する。

③ 種類株主総会特別決議

 定款の変更につき、ある種類の株式の株主に損害を及ぼすおそれがある場合には、原則として、当該種類の株主の株主総会特別決議が必要である点も設定の場合と同様である。

④ 株主に対する公告又は通知

 株式会社は、取締役の決定又は取締役会決議により単元株式数の廃止又は減少変更をした場合、その効力が発生した日の後、遅滞なく株主に定款を変更した旨を通知又は公告しなければならない。(会社法195条2項3項)

⑤ 効力発生日

 原則として、決議成立の時に効力が発生するが、決議に条件や期限を付したときは、条件成就又は期限到来の時に効力が生ずる。

 

(2) 登記申請手続

① 登記の事由

 「単元株式数の変更」又は「単元株式数の廃止」と記載する。

② 登記すべき事項

 変更後の単元株式数及び変更又は廃止の旨並びにその年月日

③ 添付書面

(イ)決議を証する「株主総会議事録」「種類株主総会議事録」「取締役会議事録」「取締役の過半数の一致を証する書面」を必要に応じて添付する。

(ロ)株主リスト

 株主総会決議と種類株主総会議事録が添付書類となる場合にあわせて添付する。

(ハ)代理人によって申請する場合の「委任状」

④ 登録免許税

 金3万円(登録免許税別表1、24、(1)ツ)

⑤ 登記期間

 定款変更の効力発生日から本店所在地において2週間以内である。

 

  単元株式数の変更登記 申請書 記載例           (種類株式発行会社でない会社)

登記の事由  単元株式数の変更

登記すべき事項  平成何年何月何日 変更

         単元株式数 ○○株

登録免許税  金3万円(ツ)

添付書類  株主総会議事録(又は取締役会議事録もしくは取締役の過半数の一致を証する書面)                                                      1通)

        (種類株主総会議事録                    1通)

        (株主リスト                        ○通)

委任状                          1通

 

  単元株式数の変更 登記 申請書 記載例               (種類株式発行会社)

登記の事由  単元株式数の変更

登記すべき事項  平成何年何月何日 変更

         単元株式数 普通株式 ○○株

               優先株式 ○○株

 

  単元株式数の廃止の登記 申請書 記載例           

登記の事由  単元株式数の定めの廃止

登記すべき事項  平成何年何月何日

         単元株式数の定めの廃止

 

 

    完了後の登記記録                  (単元株式数の変更の場合)

単元株式数

○○株

 

 

平成年月日設定

平成年月日登記

△△株

 

 

平成年月日変更

平成年月日登記

 

 

 

完了後の登記記録                  (単元株式数の定めの廃止の場合)

単元株式数

○○株

 

 

 

 

平成年月日設定

平成年月日登記

平成年月日廃止

平成年月日登記