- 商業登記法ー5.定款変更に伴う変更登記
- 2.商号の変更
- 商号の変更
- Sec.1
1商号の変更
■実体手続
(1) 株主総会の決議
商号の変更は、定款変更になるため、株主総会特別決議を要する。
(2) 決議内容の問題 (商号の適格性)
① 同一商号・同一本店の調査
商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあっては、本店)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。(商登法27条)
ex (既登記の商号) A市B町一丁目1番1号101号 株式会社XYZ
(変更後の商号) A市B町一丁目1番1号102号 株式会社XYZ ○
(既登記の商号) A市B町一丁目1番1号 株式会社XYZ
(変更後の商号) A市B町一丁目1番1号101号 株式会社XYZ ×
② 使用強制文言の使用
会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。(会社法6条2項)
また、会社はその商号中に、他の種類の会社であると誤認される恐れのある文字を用いてはならない。(同条3項)
また、会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。(会社法7条)なお、株式会社という文字の位置については特に制限はない。(S44.4.15民四課長回答)
先例 |
(S44.4.15民四課長回答) |
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株式会社の文字を商号の中間に用いた「道後温泉おみやげセンター株式会社かすりや」の設立登記申請は受理して差し支えない。 |
③ 使用文言の可否
先例 |
(S54.2.9民四837号) |
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商号中に「かっこ( )が用いられたものは受理すべきでない。 |
⇒ ただし、「〇〇〇・バンク•コーポレーション(銀行)」、「〇〇・セキュリテイ一ズ・コーポレーション(証券)」等、外国会社が業種を示すために用いることはできる。
先例 |
(H14.7.31民商1839号) |
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商号の登記にローマ字(大文字、小文字)、アラビア数字を用いることもできる。また字句(日本文字を含む)を区切る際の符号として使用する場合に限り、「&」「,(コンマ)」「’(アポストロフィー)」「‐(ハイフン)」「.(ピリオド)」及び「・(なかてん)」を用いることもできる。従って、これら符号を会社の種類を表す部分を除いた商号の先頭又は末尾に使用することはできない。 |
⇒ ただし、「.」(ピリオド)については、省略を表すものとして、会社の種類を表す部分を除いた商号の末尾に用いることができる。
ex ABC株式会社・ ×
・ABC株式会社 ×
ABC・神戸株式会社 ○
ABC神戸・株式会社 ×
先例 |
(H14.3.20民商687号) |
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商号中に用いられた「・(なかてん)」が外国語を片仮名で表示したために生じる誤読を防止 するために用いたものである場合は受理して差し支えないが、商号中に「( )かっこ」が用 いられたものは受理すべきでない。 |
ex 株式会社エイ・ビー・シー商事 ○
株式会社エイ・ビー・シー(ジャパン) ×
先例 |
(T10.10.21民四2223号) |
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「何会社何支店」「何会社何支社」「何会社何支部」「何会社何出張所」のように、商号に会社 の一営業部門を示すような文字を付加して登記する ことはできない。 |
先例 |
(H21.7.16民商1679号) |
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「何会社何支部」の文字については使用が認められた。 |
先例 |
(S29.12.21民甲2613号) |
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「代理店」「特約店」のように、ある者との関係を示すものにすぎず、その独立性が疑われない ものは使用することができる。 |
■登記申請手続
(1) 登記の事由
「商号の変更」と記載する。
(2) 登記すべき事項
① 商号を変更した旨及びその年月日
② 変更後の商号
(3) 添付書面
① 本店所在地における申請の場合
(イ)商号の変更を決議した「株主総会議事録」
(ロ)株主の氏名又は名称、住所、持株数、持株比率等を記載した「株主リスト」
(ハ)代理人によって申請する場合の「委任状」
(ニ)その他
総株主の議決権の過半数の出席なくして定款変更決議をしたときは、定足数を3分の1を限度に引き下げる旨定めのある「定款」
② 支店所在地における申請の場合
本店の所在地においてした登記を証する書面のみで足りる。
(4) 登録免許税
① 本店所在地における申請(登録免許税別表1、24、(1)ツ)
金3万円
② 本店所在地における申請(登録免許税別表1、24、(2)イ)
金9000円
(5) 登記期間
定款変更の効力が生じた日から、本店所在地において2週間以内、支店所在地において3週間以内
(6) 支店所在地での申請
支店所在地における登記事項は、商号、本店、支店所在地の3つであるため、商号を変更した場合には、本店でその登記をした後で、変更登記を申請する必要がある。ただし、支店の所在地と本店の所在地とが同一登記所管内にあるときは、本店所在地での登記として申請すれば足りる。
商号の変更登記 申請書 記載例 (株式会社ABC ⇒ 株式会社XYZ) 本店所在地
株式会社変更登記申請書
商 号 株式会社ABC(*1)
本 店 何市何町何丁目何番何号
登記の事由 商号の変更
登記すべき事項 平成何年何月何日 商号変更
商号 株式会社XYZ(*2)
登録免許税 金3万円(ツ)
添付書類 株主総会議事録 1通
株主リスト 1通
委任状 1通
上記のとおり申請する。
平成何年何月何日
(*1)変更前の商号を記載する。
(*2)変更後の商号を記載する。
支店所在地
商 号 株式会社ABC(*1)
本 店 何市何町何丁目何番何号
支 店 何市何町何丁目何番何号
登記の事由 商号の変更
登記すべき事項 平成何年何月何日 商号変更
商号 株式会社XYZ(*2)
登録免許税 金9000円(イ)
添付書類 登記事項証明書 1通 (*3)
(*1)変更前の商号を記載する。
(*2)変更後の商号を記載する。
(*3)本店所在地で登記をした登記事項証明書のみで足り、代理人による場合でも委任状その他の
書類の添付を要しない。
完了後の登記記録
商号 |
株式会社ABC |
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株式会社XYZ |
平成何年何月何日変更 |
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平成何年何月何日登記 |