- 商業登記法ー3.登記の実行
- 3.申請の却下
- 申請の却下
- Sec.1
1申請の却下
■申請の却下
(1) 登記申請の却下
登記申請に商登法24条各号に定める事由があり、登記官が定めた相当の期間内に補正又は申請の取下げがなされないときは、その申請は却下される。却下事由については商登法24条その他の法令に規定されているが、これは限定列挙であり、これら却下事由がないときは登記官は登記しなければならない。
(2) 却下事由
登記官は、次の各号のいずれかに掲げる事由がある場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
1. 申請に係る当事者の営業所の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。(*) 2. 申請が登記すべき事項以外の事項の登記を目的とするとき。(*) 3. 申請に係る登記がその登記所において既に登記されているとき。(*) 4. 申請の権限を有しない者の申請によるとき。 5. 商登法21条3項に規定する場合において、当該申請に係る登記をすることにより同項の登記の申請書のうち他の申請書に係る登記をすることができなくなるとき。(*) (ex)2以上の登記申請を同時に受け取った場合、又は2以上の登記申請において受け取った時の前後が明らかでない場合において、当該申請に係る登記をすることにより当該2以上の登記の申請書のうち他の申請書に係る登記をすることができないときである。 6. 申請書がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。 7. 商登法20条の規定による印鑑の提出がないとき,又は申請書、委任による代理人の権限を証する書面もしくは商登法30条2項もしくは31条2項に規定する譲渡人の承諾書に押された印鑑が20条の規定により提出された印鑑と異なるとき。 8. 申請書に必要な書面(商登法19条の2に規定する電磁的記録を含む。)を添付しないとき。 9. 申請書又はその添付書面(商登法19条の2に規定する電磁的記録を含む。以下同じ)の記載又は記録が申請書の添付書面又は登記簿の記載又は記録と合致しないとき。 10. 登記すべき事項につき無効又は取消しの原因があるとき。 11. 申請につき経由すべき登記所を経由しないとき。 (ex)管轄外への本店移転の登記の場合である。 12. 同時にすべき他の登記の申請を同時にしないとき。 (ex)合併による変更登記と解散登記 13. 申請が商登法27条の規定により登記することができない商号の登記を目的とするとき。 (ex)商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあっては、本店)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することがでぎない。(商登法27条) 14. 申請が法令の規定により使用を禁止された商号の登記を目的とするとき。 (ex)個人商人が会社であることを示す文字を用いた商号 銀行でないものが銀行という文字を用いた商号 15. 商号の登記を抹消されている会社が商号の登記をしないで他の登記を申請したとき。 16. 登録免許税を納付しないとき。 |
(*)誤って登記の申請が受理された場合、当該登記は無効であり、当事者は抹消申請できるほか、登記官の職権によって抹消することもできる。
(3) 却下の手続
登記官は、却下事由がある場合において、補正がされないときは、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。この場合、登記官は、決定書を作成し、これを申請人又は代理人に交付又は送付して却下をする。(商登法24条)オンライン申請を却下する場合であっても却下決定書を作成・交付しなければならない。
(4) 却下の際の申請書と添付書類の処理
申請を取り下げた場合と異なり、申請が却下された場合には、登記の申請書は還付されない。
なお、添付書類については当然に還付されることはないが、還付を請求することはできる。還付を請求するには、還付請求書を登記所に提出しなければならない。
cf 不動産登記の申請を却下する場合は、添付書面は当然に返却されたことと比較。