- 商業登記法ー2.登記申請手続総論
- 5.添付書面の援用と原本還付
- 添付書面の援用と原本還付
- Sec.1
1添付書面の援用と原本還付
■添付書面の援用
同一の登記所に対して同時に数個の申請をする場合において、各申請書に添付すべき書類(電磁的記録を含む。)に内容同一のものがあるときは、1つの申請書のみに添付し、他の申請書にはその旨付記して添付を省略することができる。(商登規37条)
要件は次のとおり。
① 同一の登記所に対する申請であること
② 同時に申請する場合であること
③ 内容が同一であること
この場合、もう一方の申請書には、援用する旨付記しておかなければならない。(商登規37条2項)
■添付書面の原本還付
(1) 意義
登記の申請人は、申請書に添付した書類の還付を請求することができる。(商登規49条1項)
(2) 還付の手続
書類の還付を請求するには、登記の申請書に当該書類と相違がない旨を記載した謄本を添付しなければならない。ただし、登記の申請が却下された場合において、書類の還付を請求するには、還付請求書に当該書類と相違がない旨を記載した謄本を添付し、これを登記所に提出しなければならない。(同条2項)
cf 不動産登記法においては申請が却下された場合、添付書面は当然に還付されるのに対し、商業登記法においては当然に還付されないから還付を受けるためには謄本を提出して原本還付の手続きをとらなければならない。この場合、還付請求書も別途必要となる。この場合、還付された書類が偽造された書類その他不正な登記の申請のために用いられた疑いのある書類であるときは、当該書類は還付されない。(手続準則52条2項)
(3) 還付請求の時期
原本還付請求は申請と同時にするべきであり、申請後は申請が却下された場合のほか、請求することができない。また、登記が完了した後は、原本還付の請求はできない。
(4) 代理人による還付請求
代理人によっても原本還付の請求ができる。この場合はその旨の代理権限のあることを証する書面(委任状)を提出しなければならないが、その授権が登記申請の委任状に付記されているときは別途委任状の添付は要しない。(登研241号)
委 任 状
何市何町何丁目何番何号
司法書士 法務 一郎
私は、上記の者を代理人と定め、下記の権限を委任する。
1.取締役、代表取締役及び監査役の変更登記の申請に関する一切の件
1.原本還付請求及び受領に関する一切の件
平成何年何月何日
委任者 何市何町何丁目何番何号
甲野 太郎 印