• 商業登記法ー1.商業登記制度
  • 2.商業登記の強制
  • 商業登記の強制
  • Sec.1

1商業登記の強制

堀川 寿和2022/01/27 12:15

商業登記の強制の趣旨

 上記の商業登記の目的から、登記すべき事由が生じたにもかかわらず、その登記がなされなければ、登記制度の趣旨が没却され、取引の安全が害される。したがって、商業登記法は、不動産登記の場合と異なり、会社の登記については、原則として登記の申請を強制している。

 例えば、株式会社の登記事項である商号が変更された場合には、本店所在地においては、変更の効力が生じた日から2週間以内に変更登記をすることが必要である。

 

違反の効果

(1) 原則

 会社の場合はそれぞれの登記について登記期間が定められており、その期間内に登記をすることを怠ったときは会社の代表者(申請義務者)は100万円以下の過料に処せられる。(会社法976条1号)過料に処せられるのは、期間内に登記しなかったことにつき故意又は過失があったときであるが(大M39. 5.22)、登記官は、故意・過失の有無につき調査できないため、過料に処せられる者があることを職務上知ったときは遅滞なく違反者(申請義務者すなわち会社の代表者)の普通裁判籍の住所地を管轄する地方裁判所に違反事件を通知しなければならない。(商登規118条)なお、過料に処せられるのは会社ではなく申請義務を怠った会社の代表者(取締役)である。(大決T10.9.29)

 

(2) 例外

次の登記については、登記期間についての定めがなく、過料に処せられることはない。

(イ)持分会社の設立登記

(ロ)支配人の登記

(ハ)商号の登記、後見人の登記、未成年者の登記

 ただし、いったん登記をした以上、その後登記された事項に変更が生じた場合には、いずれも定められたの期間内に変更登記をしなければならない。