- 権利関係ー9.区分所有法
- 2.共用部分
- 共用部分
- Sec.1
1共用部分
■共用部分
共用部分は、法定共用部分と規約共用部分からなる。
(1) 法定共用部分
数個の専有部分に通ずる廊下または階段室その他構造上区分所有者の全員またはその一部の共用に供されるべき建物の部分は、法定共用部分である。また、専有部分に属しない建物の附属物(エレベーター設備、水道・排水の配管など)も、法定共用部分である。
法定共用部分は、区分所有権の目的とならない(専有部分とすることはできない)。
(2) 規約共用部分
専有部分となりうる建物の部分は、規約により共用部分とすることができる。このような建物の部分を、規約共用部分という。
規約共用部分は、その旨の登記をしなければ、規約共用部分であることを第三者に対抗することができない。
【共用部分の具体例】
法定共用部分 | 階段室・玄関ロビー・廊下・バルコニー・屋上・外壁・基礎・躯体部分・エレベーター・貯水槽など |
規約共用部分 | 集会室・管理人室・管理棟など |
Point1 規約とは、区分所有者が自ら定めた、建物やその敷地などの管理または使用についての自主的なルールである。
Point2 一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分は、一部共用部分と呼ばれる。
■共用部分の権利関係
(1) 共用部分の共有
共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。
ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
なお、上記については、規約で別段の定めをすることができる。
Point 規約によって、共用部分を管理者(または特定の区分所有者)の所有とすることもできる。この場合の所有を管理所有という。
(2) 共用部分の使用
各共有者は、共用部分をその用方に従って使用することができる。
(3) 共用部分の持分の割合
各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
この床面積は、「壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積」(内法面積)による。
なお、上記については、規約で別段の定めをすることができる。
Point1 規約により、各共有者の持分の割合を平等とすることもできる。
Point2 規約により、床面積を壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(壁心面積)とすることもできる。なお、一戸建ての建物の床面積は、この壁心面積によって算出される。
(4) 共用部分の持分の処分
共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。したがって、たとえば専有部分が売却された場合は、専有部分だけではなく共用部分の持分も当然に売却されたことになる。
共有者は、区分所有法に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。
■共用部分の保存・管理・変更
(1) 共用部分の保存・管理・変更
共用部分の保存・管理・変更は、次のように行う。
内容 | 要 件 | 規約による別段の定め |
保存行為 | 保存行為は、各共有者が単独ですることができる | できる |
管理行為 (利用・改良) | 共用部分の管理に関する事項は、区分所有者および議決権の各過半数による集会の決議で決する | できる |
軽微な変更 | 共用部分の変更(その形状または効用の著しい変更を伴わないもの)は、区分所有者および議決権の各過半数による集会の決議で決する | できる |
重大な変更 | 共用部分の変更(その形状または効用の著しい変更を伴わないものを除く)は、区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する | 区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる |
Point1 決議要件の「区分所有者」とは区分所有者の頭数のことであり、「議決権」とは、規約に別段の定めがない限り、共用部分の持分の割合(その有する専有部分の床面積の割合)による。
Point2 「重大な変更」の決議要件のうち議決権については、規約で減ずることができない。
Point3 「管理行為」(保存行為は除く)、「軽微な変更」、「重大な変更」が、専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。たとえば、新たにエレベーターを設置することにより、一部の専有部分の日照が阻害されるような場合である。
(2) 共用部分の負担および利益収取
各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
Point 共用部分の管理に要した各区分所有者の費用の負担については、規約に別段の定めがない限り、共用部分の持分に応じて決まる。