- 会社法ー3.持分会社
- 7.定款の変更
- 定款の変更
- Sec.1
1定款の変更
■定款の変更
持分会社は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって、定款の変更をすることができる(会社法637条)。したがって、定款で定めることによって、要件を緩和することは、可能である。
■定款の変更による持分会社の種類の変更
(1) 要件
持分会社は、定款を変更することにより、持分会社の種類の変更をすることができる(会社法638条)。持分会社間の会社の種類の変更は、定款変更として規定される。したがって、原則として総社員の同意によってすることができる。持分会社から株式会社への変更は組織変更となる点と比較。
(2) 効力発生日
① 原則
効力発生日は原則として、総社員の同意があった日となる。なお、債権者保護手続は、要求されていない。
② 例外
合名会社または合資会社が定款を変更し、合同会社となる場合は、その会社の社員が定款変更後の合同会社に対する出資の全部または一部を履行していないときは、その定款の変更は、その払込みおよび給付が完了した日に、その効力を生ずる(会社法640条1項)。
(3) 変更の態様
① 合名会社
合名会社は、次に掲げる定款の変更をすることにより、次に定める種類の持分会社となる(会社法638条1項)。
ⅰ)有限責任社員を加入させる定款の変更
「合資会社」
ⅱ)その社員の一部を有限責任社員とする定款の変更
「合資会社」
ⅲ)その社員全部を有限責任社員とする定款の変更
「合同会社」
② 合資会社
合資会社は、次に掲げる定款の変更をすることにより、次に定める種類の持分会社となる(会社法638条2項)。
ⅰ)その社員の全部を無限責任社員とする定款の変更
「合名会社」
ⅱ)その社員の全部を有限責任社員とする定款の変更
「合同会社」
③ 合同会社
合同会社は、次に掲げる定款の変更をすることにより、次に定める種類の持分会社となる(会社法638条3項)。
ⅰ)その社員の全部を無限責任社員とする定款の変更
「合名会社」
ⅱ)無限責任社員を加入させる定款の変更
「合資会社」
ⅲ)その社員一部を無限責任社員とする定款の変更
「合資会社」
(4) 会社の種類の変更の登記
持分会社が定款変更により他の種類の持分会社となったときは、定款の変更の効力が生じた日から2週間以内に、その本店所在地において、種類の変更前の持分会社については解散の登記をし、種類の変更後の持分会社については設立の登記をしなければならない(会社法919条)。
■合資会社の社員の退社による定款のみなし変更
(1) 意義
合資会社は、無限責任社員と有限責任社員の2種類の社員で構成されるが、いずれかの種類の社員が退社等により存在しなくなった場合、合名会社または合同会社に定款変更をしたとみなす規定を置くことによって、他の種類の会社として存続するようにした。この場合、定款変更したものとみなされるため、別途総社員の同意等は必要ない。
(2) 有限責任社員の退社
合資会社の有限責任が退社したことにより、当該合資会社の社員が無限責任社員のみとなった場合には、当該合資会社は合名会社となる定款の変更をしたものとみなす(会社法639条1項)。
(3) 無限責任社員の退社
合資会社の無限責任社員が退社したことにより、当該合資会社の社員が有限責任社員のみとなった場合には、当該合資会社は合同会社となる定款の変更をしたものとみなす(会社法639条2項)。
(4) 定款のみなし変更時の出資の履行
合資会社の無限責任社員が退社したことによる定款のみなし変更により合同会社となる場合は、社員がその出資に係る払込みまたは給付の全部または一部を履行していないときは、当該定款の変更をしたものとみなされた日から1か月以内に、当該払込みまたは給付を完了しなければならない(会社法640条2項本文)。