- 会社法ー3.持分会社
- 8.解散および清算
- 解散および清算
- Sec.1
1解散および清算
■解散
(1) 解散の事由
持分会社は、次に掲げる事由によって解散する(会社法641条1項)。
① 定款で定めた存続期間の満了(1号) ② 定款で定めた解散の事由の発生(2号) ③ 総社員の同意(3号) ④ 社員が欠けたこと(4号) ⑤ 合併(合併により当該持分会社が消滅する場合に限る。)(5号) ⑥ 破産手続開始の決定(6号) ⑦ 会社法824条1項または833条2項の規定による解散を命ずる裁判(6号) |
持分会社が解散すると、合併および破産手続開始の決定を受けた場合を除き、清算手続が開始し、当該持分会社は清算の目的の範囲内で存続することとなる(会社法645条)。
なお、持分会社には、株式会社における休眠会社のみなし解散の規定は存在しない。持分会社の社員には会社法上、任期の定めはないからである。
(2) 持分会社の継続
上記の解散事由①~③により解散した持分会社は、清算が結了するまで、社員の全部または一部の同意によって、持分会社を継続することができる(会社法642条1項)。
持分会社を継続することについて同意をしなかった社員は、持分会社が継続することとなった日に、退社する(会社法642条2項)。
■清算
(1) 任意清算
合名会社または合資会社は、存続期間の満了、定款で定めた解散事由の発生または総社員の同意により解散した場合は、定款または総社員の同意によって、当該持分会社の財産の処分の方法を定めることができる(会社法668条1項 任意清算)。この場合、清算人を選任する必要はなく、会社を代表する社員が清算手続をすることになる。
任意清算をするには、会社債権者の利益を害するような財産処分が行われることを防止するため。債権者の異議手続を経る必要がある(会社法670条)。
(2) 法定清算
法定清算とは、法定の手続に従って行われる清算手続である(会社法644条)。この場合、清算手続は、清算人が行う。
① 清算人
次に掲げる者は、清算持分会社の清算人となる(会社法647条1項)。
1. 定款で定める者 2. 社員(業務を執行する社員を定款で定めた場合にあっては、その社員)の過半数の同意によって定める者 3. 1.および2.に掲げた者がいない場合は、業務を執行する社員 4. 1.~3.の者がいない場合は、利害関係人の申立てにより裁判所が選任した者 5. 1.~4.の規定にかかわらず、社員が欠けたことまたは解散を命ずる裁判によって解散した場合は、利害関係人もしくは法務大臣の申立てによりまたは職権で裁判所が選任した者 6. 1.~4.の規定にかかわらず、設立無効または取消の訴えの請求認容判決が確定した場合は、利害関係人の申立てにより裁判所が選任した者 |
裁判所が選任していない清算人は、いつでも、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数によって解任することができる(会社法648条1項2項)。また、重要な事由があるときは、裁判所は、社員その他利害関係人の申立てにより、清算人を解任することができる(同条3項)。
② 清算人の職務
(a) 業務の執行等
清算人は、現務の結了、債権の取立て、債務の弁済および残余財産の分配に関する職務を行い、清算持分会社の業務を執行する(会社法650条1項)。
(b) 清算持分会社の代表
清算人は、原則として、各自が清算持分会社を代表する(会社法655条1項2項)。法人が清算人である場合には、当該法人は、当該清算人の職務を行うべき者を選任し、その者の氏名および住所を社員に通知しなければならない(会社法654条1項)。
(c) 清算人と清算持分会社との関係
清算持分会社と清算人の関係は、委任に関する規定に従い、持分会社の清算人が競業取引をするには社員(当該清算人が社員である場合にあっては、当該清算人以外の社員)全員の承認を得なければならず、利益相反取引をするには、社員(当該清算人が社員である場合にあっては、当該清算人以外の社員)の過半数の承認を得なければならない(会社法651条2項•、595条)。
(d) 清算人の第三者に対する損害賠償責任
清算人がその任務を怠ったときは、清算持分会社に対し、連帯して損害を賠償する責任を負い、清算人がその職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、連帯して、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う(会社法653条)。
③ 債権者に対する公告等(合同会社の特則)
清算持分会社(合同会社に限る。)は、清算開始原因に該当することとなった後、遅滞なく、一定期間内(2か月を下ることができない)にその債権を申し出るべき旨および当該期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には各別に催告しなければならない(会社法660条)。申出期間内に申出をしなかった債権者で、知れている債権者でない者は、清算から除斥される(会社法665条1項)。
清算から除斥された債権者は、分配がされていない残余財産に対してのみ、弁済を請求することができる(同条2項)。
清算持分会社(合同会社に限る。)は、上記の申出期間内は原則として債務の弁済をすることができない(会社法661条)。
清算持分会社に現存する財産がその債務を完済するのに足りない場合において、その出資の全部または一部を履行していない社員があるときは、当該出資に係る定款の定めにかかわらず、当該清算持分会社は、当該社員に出資させることができる(会社法663条)。
そして、清算持分会社は、原則として債務を弁済した後でなければ、その財産を社員に分配することができない(会社法664条)。
清算持分会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、清算に係る計算をして、社員の承認を受けなければならない(会社法667条1項)。