• 不動産登記法ー3.用益権に関する登記
  • 4.永小作権に関する登記
  • 永小作権に関する登記
  • Sec.1

1永小作権に関する登記

堀川 寿和2022/01/13 10:13

 永小作権については、実務上設定されることも稀で、司法書士試験でもあまり出題されない。受験生としては、地上権と異なる点を学習すれば十分である。

永小作権の意義

 「永小作権」とは、耕作又は牧畜を目的として、小作料を支払って他人の土地を利用する物権をいう。(民法270条)

登記事項

 永小作権の登記の登記事項は、不登法59条各号の一般的登記事項(登記の目的、原因及びその日付等)のほか、永小作権特有の登記事項がある。(不登法79条)


(1) 絶対的登記事項(設定契約で必ず定めて登記しなければならない事項)

永小作権は、小作料を支払うことが要件とされているため、小作料を必ず登記しなければならない。


(2) 任意的登記事項(設定契約で定めたときには登記しなければならない事項)

① 存続期間の定めがあるときは、その定め

② 小作料の支払時期の定めがあるときは、その定め


永小作権の譲渡、賃貸禁止特約

 永小作権は物権であるため、永小作権を譲渡したり、対象地を他人に賃貸したりすることは原則として自由であるはずであるが、設定契約において別段の定め(譲渡や賃貸を禁止する定め)をすることができる。(民法272条)その場合には、その定めが登記事項となる。

 cf 地上権においては、たとえ設定契約で「地上権の譲渡や賃貸をすることができない」といった定めがされた場合でも、地上権の設定の登記の申請情報の内容としてその定めを提供することはできない。つまり登記することはできない。



(*1)永小作権設定の目的たる土地の価格を課税価格として、その1000分の10である。

(登録免許税法別表一、一、(三)イ)