• 民法親族・相続ー8.扶養
  • 3.代襲相続
  • 代襲相続
  • Sec.1

1代襲相続

堀川 寿和2022/01/06 10:37

代襲相続の意義

 代襲相続とは、相続人となるべき者(被代襲者)が相続開始前に、死亡・相続欠格・相続廃除によってその相続権を失ったときに、その者の子(代襲者)がその者と同順位で相続人となることをいう(民法887条2項)。

代襲相続の要件

(1) 被代襲者の要件

① 被代襲者とは、本来ならば相続人になるはずであった者のことをいう。

被代襲者となり得るのは、被相続人の子および兄弟姉妹である(民法887条2項、889条2項)。被代襲者の配偶者は代襲相続人にはなれない点に注意!






② 代襲原因

 代襲相続が生ずるのは、次の3つの場合に限られる(民法887条2項)。相続放棄の場合は代襲原因とならない点に注意!

(イ) 相続開始以前の死亡

「相続の開始以前に死亡したとき」の「相続の開始以前」には、被相続人より先に相続人が死亡している場合だけでなく、被相続人と相続人の同時死亡の場合を含む。



(ロ) 相続欠格

(ハ) 廃除




(2) 代襲者の要件

① 被代襲者の直系卑属であること(民法887条2項、3項)

代襲するのは、被代襲者の子であるが、後述のとおり再代襲が認められるため、被代襲者の直系卑属であれば、代襲することができることになる。


② 被相続人の直系卑属であること(民法887条2項ただし書)

 したがって縁組後の子は代襲相続人になれるが、縁組前の子は代襲相続人になれないことになる。



③ 代襲者が相続開始時に存在すること

 代襲者は、相続開始の時に存在するか、または胎児であればよい。代襲原因の発生した時(被代襲者が相続権を失った時)に存在している必要はない。したがって、相続人が欠格または廃除により相続権を失った後に生まれた実子も代襲相続ができるし、その後に縁組をした養子も代襲相続ができる。


④ 代襲者自身が相続欠格または廃除者でないこと

 代襲者は、被相続人を相続することになるため、被相続人の相続について欠格者または廃除者であってはならない。


再代襲相続

 代襲相続人となるべき者についてさらに代襲原因が生じた場合は、その者の子がこれを代襲して相続人となる(民法887条3項、再代襲)。直系卑属が代襲者の場合には、理論上再々代襲またはそれ以上もあり得る。一方、兄弟姉妹が相続人となる場合にも代襲相続は認められるが(民法889条2項→887条2項)、再代襲以上は認められていない。