- 民法親族・相続ー8.扶養
- 2.相続人の種類と順位
- 相続人の種類と順位
- Sec.1
1相続人の種類と順位
■相続人の種類
被相続人と一定の身分関係を有していた者が相続人となるが、さらに2つの種類がある。
(1) 血族相続人
血のつながりによる相続である。血族相続人には3種類あるが、これらの者全てが常に相続人となるわけでなく、先順位にある者のみが相続人となり、後順位の者は先順位の者が相続する場合には、相続できない(民法887条、889条)。
(2) 配偶者相続人
被相続人の配偶者は、被相続人の死亡時点で生存していれば、常に相続人となる(民法890条前段)。
離婚した場合は相続人とならない。また、内縁の配偶者には相続権はない。
(3) 同時存在の原則
相続人となることができるのは、被相続人が死亡した時点で存在していた者に限られる(同時存在の原則)。法律上、相続人となる身分を有していた者でも、被相続人より先に死亡した場合は相続人とはならない。
■相続人の順位
(1) 配偶者と子が相続人の場合
第1順位の血族相続人は子である(民法887条1項)。孫以下の直系卑属が子を代襲し相続人となる場合がある(民法887条2項)。
子が数人あるときは同順位で相続する。被相続人の法律上の子であれば、実子・養子、嫡出・非嫡出を問わない。胎児も、相続に関しては既に生まれたものとみなされるので(民法886条1項)、子として相続人となる。
(2) 配偶者と直系尊属が相続人の場合
第2順位の血族相続人は直系尊属である(民法889条1項)。子または子の代襲相続人がいないか、いてもこれらの者が相続放棄したときに第2順位として相続人となる。
① 養父母がいる場合
実父母だけでなく養父母も相続人となる。
② 直系尊属が数人いる場合
親等が異なる者がいるときは、親等が近い者のみが相続人となる(民法889条1項1号ただし書)。
(3) 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
第3順位の血族相続人は兄弟姉妹である(民法889条1項)。第1順位、第2順位の者が存在しない場合に相続人となる。
(4) 血族相続人が全く存在しない場合
配偶者が全てを相続することになる。
(5) 配偶者が存在しない場合
血族相続人が全てを相続することになる。