• 民法親族・相続ー8.扶養
  • 2.相続人の種類と順位
  • 相続人の種類と順位
  • Sec.1

1相続人の種類と順位

堀川 寿和2022/01/06 10:25

相続人の種類

 被相続人と一定の身分関係を有していた者が相続人となるが、さらに2つの種類がある。




(1) 血族相続人

 血のつながりによる相続である。血族相続人には3種類あるが、これらの者全てが常に相続人となるわけでなく、先順位にある者のみが相続人となり、後順位の者は先順位の者が相続する場合には、相続できない(民法887条、889条)。


(2) 配偶者相続人

 被相続人の配偶者は、被相続人の死亡時点で生存していれば、常に相続人となる(民法890条前段)。

離婚した場合は相続人とならない。また、内縁の配偶者には相続権はない。


(3) 同時存在の原則

 相続人となることができるのは、被相続人が死亡した時点で存在していた者に限られる(同時存在の原則)。法律上、相続人となる身分を有していた者でも、被相続人より先に死亡した場合は相続人とはならない。


相続人の順位



(1) 配偶者と子が相続人の場合

 第1順位の血族相続人は子である(民法887条1項)。孫以下の直系卑属が子を代襲し相続人となる場合がある(民法887条2項)。

子が数人あるときは同順位で相続する。被相続人の法律上の子であれば、実子・養子、嫡出・非嫡出を問わない。胎児も、相続に関しては既に生まれたものとみなされるので(民法886条1項)、子として相続人となる。





(2) 配偶者と直系尊属が相続人の場合

 第2順位の血族相続人は直系尊属である(民法889条1項)。子または子の代襲相続人がいないか、いてもこれらの者が相続放棄したときに第2順位として相続人となる。


① 養父母がいる場合

 実父母だけでなく養父母も相続人となる。


② 直系尊属が数人いる場合

 親等が異なる者がいるときは、親等が近い者のみが相続人となる(民法889条1項1号ただし書)。




(3) 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

 第3順位の血族相続人は兄弟姉妹である(民法889条1項)。第1順位、第2順位の者が存在しない場合に相続人となる。



(4) 血族相続人が全く存在しない場合

 配偶者が全てを相続することになる。



(5) 配偶者が存在しない場合

 血族相続人が全てを相続することになる。