• 民法担保物権ー7.非定型担保
  • 2.所有権留保
  • 所有権留保
  • Sec.1

1所有権留保

堀川 寿和2021/12/27 13:40

所有権留保の意義

 所有権留保とは、ある物の売買をするにあたり、目的物は買主に引き渡すが、買主が代金を完済するまでは物の所有権を売主に留保しておくことをいう。自動車等の動産の割賦販売において頻繁に利用される。たとえば、360万円の自動車を月額10万円の36回の分割払いで購入した際、「買主が代金全額を支払うまで自動車の所有権は売主に留保する」とする特約を付すことができる。これが「所有権留保」である。所有権留保は、売買代金の支払いを確保するための担保手段である。

所有権留保の効力

(1) 当事者間における効力

 買主は、使用者として目的物を占有し、利用することはできるが、未だ所有者でないため、目的物を処分することはできない。買主が代金を支払わなければ、売主は売買契約を解除して目的物の返還を請求することができる。


(2) 第三者に対する効力

 買主は、代金全額を完済するまで目的物の所有者でないため、これを第三者に売却等することはできない。仮に売却等しても、即時取得が成立する場合を除いて、第三者はその物を取得することはできない。