- 民法担保物権ー7.非定型担保
- 3.代理受領
- 代理受領
- Sec.1
1代理受領
■代理受領の意義
代理受領とは、たとえば債権者AがBに対して有する債権を確保するために、BがCに対して有する債権について、AがBから弁済受領または取立委任を受けた上でCから金銭を受領し、それを相殺その他の方法によって自らの債権に充当するという方法による実質的な債権担保手段である。
■代理受領の法律関係
(1) 債権者と債務者の関係(A・Bの関係)
代理受領は、債務者Bが債権者Aに対して、第三債務者Cからの弁済の受領を委任することによってなされることになる。
(2) 債権者と第三債務者の関係(A・Cの関係)
第三債務者Cが、債権の担保として代理受領の委任がされたということを知った上で、これを承認した場合には、正当な理由なく債権者Aの利益を侵害するような行為をしてはならない。これに違反して第三債務者Cが債務者Bに弁済したような場合には、第三債務者Cは債権者Aに対し、不法行為による損害賠償責任を負わされることになる(最S44.3.4)。
(3) 債権者と第三者の関係(A・甲の関係)
債権者Aの代理受領の権限は、第三者に対する対抗力はない。したがって、債務者Bの第三債務者Cに対する債権が第三者(甲)によって差し押さえられた場合、債権者Aは代理受領の権限をその差押債権者(甲)に対抗することはできない。
■仮登記担保
「仮登記担保」とは、金銭債権を担保するため、その不履行があるときは債権者に債務者または第三者(物上保証人)に属する所有権を移転することを目的として代物弁済予約、停止条件付代物弁済契約などを原因とする仮登記をなしておく担保方法をいう。仮登記担保権者は、債務不履行があると仮登記を本登記に直して権利を取得し、代物弁済を受けることによって自己の債権を保全することができる。詳しいことは、不動産登記法において学習するので、ここでは、この程度にとどめることにすることにする。