- 権利関係ー3.物権(担保物権を除く)
- 5.相隣関係
- 相隣関係
- Sec.1
1相隣関係
隣接する土地所有者間の関係を相隣関係という。隣接する土地相互の間では、その境界線付近でトラブルが生じがちである。そこで、民法は、土地所有者同士が互いに仲良く土地を利用できるように、隣接する土地相互の所有権を調整するルールを定めている。
■相隣関係
(1) 隣地使用請求権
① 土地の所有者は、境界またはその付近において障壁や建物を築造または修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。
② ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
③ 隣地の使用により隣人に損害を与えたときは、償金を支払わなければならない。
(2) 公道に至るための他の土地の通行権
① 他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
② 通行の場所および方法は、通行のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
③ 通行権者は、必要があるときは、通路を開設することができる。
④ 通行権者は、その通行する他の土地の損害に対して、原則として1年ごとに、償金を支払わなければならない。
⑤ 分割によって袋地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。
(3) 境界標設置権
① 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。
② 境界標の設置および保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。
③ 境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝および堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。
(4) 越境竹木の枝の切除・根の切取権
① 境界線を越えてきた隣地の竹木の枝は、その竹木の所有者に切除させることができる。
② 境界線を越えてきた隣地の竹木の根は、自分で切り取ることができる。
(5) 境界線付近での建築制限
① 建物を築造するには、境界線から50cm以上の距離を保たなければならない。
② 境界線から1m未満の距離に他人の宅地を見通すことのできる窓・縁側・ベランダを設ける者は、目隠しを付けなければならない。
③ 上記①②と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。