- 権利関係ー3.物権(担保物権を除く)
- 6.地上権・永小作権・地役権
- 地上権・永小作権・地役権
- Sec.1
1地上権・永小作権・地役権
地上権・永小作権・地役権は「用益物権」と呼ばれる。用益物権とは、他人の所有する土地を一定の目的のために使用・収益することができる権利である。
■地上権・永小作権・地役権
(1) 地上権
地上権とは、工作物(建物など)または竹木を所有するために他人の土地を使用する権利である。
① 地下(地下鉄)または空間(送電線)にも、上下の範囲を定めて設定することができる
② 地代は必ずしも必要ない(無料でもよい)
(2) 永小作権
永小作権とは、小作料を支払って、耕作または牧畜をするために他人の土地を使用する権利である。
(3) 地役権
地役権とは、自分の土地(要役地)の便益のために他人の土地(承役地)を利用する権利である。これは、自分の土地の価値を高めるために、他人の土地を利用することができるということである。
たとえば、近道するために他人の土地を通行させてもらう通行地役権や、マンションの眺望のために隣地に高い建物を建てないようにしてもらう眺望地役権などがある。
■チェック問 共有・相隣関係・用益物権 問題
【チェック問 共有・相隣関係・用益物権 問題】
1. 各共有者は、共有物の不法占拠者に対し、妨害排除の請求を単独で行うことができる。
2. A、B及びCが持分を各3分の1で共有する甲土地について、Dと賃貸借契約を締結している場合、AとBが合意すれば、Cの合意はなくとも、賃貸借契約を解除することができる。
3. A・B・Cは、持分各3分の1で建物を共有しているが、Aは、BとCの同意を得なければ、この建物に物理的損傷及び改変などの変更を加えることはできない。
4. A、B及びCが、持分を各3分の1で建物を共有している場合、Aは、BとCの同意を得なければ、この建物に関するAの共有持分権を売却することはできない。
5. 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるが、5年を超えない期間内であれば、分割をしない旨の契約をすることができる。
6. 複数の筆の他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。
7. A所有の甲地が、A及びBの共有地の分割によって袋地となったときには、Aは、Bが所有する分割後の残余地にしか通路を開設することができない。
8. 土地の所有者は、境界において障壁を修繕するために必要であれば、必要な範囲内で隣地の使用を請求することができる。
9. 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用をもって、境界標を設置することができる。
10. 異なる慣習がある場合を除き、境界線から1m未満の距離において他人の宅地を見通すことができる窓を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
11. Aの隣地の竹木の枝が境界線を越えてもAは竹木所有者の承諾なくその枝を切ることはできないが、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、Aはその根を切り取ることができる。
■チェック問 共有・相隣関係・用益物権 正解
【チェック問 共有・相隣関係・用益物権 正解】
1-○ | 2-○ | 3-○ | 4-× | 5-○ | 6-× | 7-○ |
8-○ | 9-○ | 10-○ | 11-○ |
【チェック問 共有・相隣関係・用益物権 解説】
1. ○ 共有物の保存行為は、各共有者がその持分に関係なく、単独ですることができる。そして、共有物の不法占拠者に対する妨害排除請求は保存行為に該当する。したがって、各共有者は、不法占拠者に対して、妨害排除の請求を単独で行うことができる。
2. ○ 共有物の賃貸借契約の解除は、共有物の管理行為に該当し、持分価格の過半数で決定される。したがって、持分がそれぞれ1/3のA・B2人が合意すれば、Cの合意がなくても、賃貸借契約を解除することができる。
3. ○ 共有物に変更を加える場合には、他の共有者全員の同意が必要なので、Aは、BとCの同意を得なければ共有建物に変更を加えることはできない。
4. × 持分は、各共有者が単独で有する権利であるから、他の共有者の同意を得ることなく、自由に譲渡することができる。
5. ○ 各共有者はいつでも共有物の分割を請求できるが、5年を超えない期間内で不分割の特約をすることができる。
6. × 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができるが、通行の方法は、通行者にとって必要な範囲で、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
7. ○ 土地を分割したり一部譲渡したことによって袋地ができた場合、自分たちでその原因を作り出しているため、分割後の残余地にしか通行権が認められない。
8. ○ 土地の所有者は、境界において障壁を修繕するために必要であれば必要な範囲内で隣地の使用を請求することができる。
9. ○ 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。
10. ○ 境界線から1m 未満の距離において他人の宅地を見通すことができる窓又は縁側を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
11. ○ 隣地の竹木の枝が境界線を越える場合には、自分で切り取ることはできず、竹木の所有者に切除させることができる。一方、隣地の竹木の根が境界線を越える場合は、自ら切り取ることができる。