• 適正化法ー4.滞納管理費等の回収
  • 2.通常訴訟
  • 通常訴訟
  • Sec.1

1通常訴訟

堀川 寿和2021/12/14 10:23

裁判所の管轄


Point1 民事訴訟の訴えの提起は、原則として被告の住所地で行う。管理費の滞納者を被告として訴えを提起する場合、その滞納者が当該マンション以外の場所に住所を有するときは、マンションの区分所有権に係る専有部分の所在地ではなく、現在の被告の住所地の裁判所に訴えを提起しなければならない。


Point2 当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。


訴訟手続


【訴訟手続②(訴状の送達)】

訴状は審査を経て、被告へ送達される。

▶ 訴状に不備な点があれば、裁判長は補正を命じなければならない。

▶ 訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる。


【訴訟手続③(口頭弁論)】

口頭弁論は、原告・被告の双方が対席して、口頭で主張・立証したり、証拠調べなどを行う手続きである。

▶ 口頭弁論は、数回にわたって実施される場合がある。

▶ 「少額訴訟」については、原則として、最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならない。

▶ 証拠調べは、原則として証拠の種類(証人尋問・鑑定人の証言・文書の閲読)について限定されないが、裁判所が証拠を採用するか否かは裁判所の判断による。

▶ 「少額訴訟」においては、即時に取り調べることのできる証拠に限り採用される。


【訴訟手続④(訴訟の終了)】


Point 第1審判決に不服がある場合に行われる上訴を「控訴」という。第2審判決に不服がある場合に行われる上訴を「上告」という。


Point1 滞納管理費に対する支払請求訴訟を提起するために、管理者は、管理費の滞納者に対し、あらかじめ滞納管理費に対する支払督促をしたり、和解や調停を経ておく必要はない。


Point2 訴えは、判決が確定するまで、その全部または一部を取り下げることができる。訴えが取り下げられると、訴えの提起がなかったものとみなされる。したがって、たとえば、滞納者に対して、訴えを提起したところ、「必ず払う。」との誓約書を提出したため、終局判決の前に訴えを取り下げても、その後、支払いがなされなかったときは再び訴えを提起することができる。


公示送達

 管理費を滞納している区分所有者が行方不明になっている場合であっても、「公示送達」により訴状を送達することにより、裁判所に滞納管理費を請求する訴えを提起することができる。

 公示送達とは、相手方が行方不明の場合などに、相手方に訴状をいつでも交付する旨を裁判所の掲示場に掲示する方法で行う送達である。掲示の日から2週間経過すると、相手方に訴状が送達されたものとみなされる。