• 適正化法ー4.滞納管理費等の回収
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  • 少額訴訟
  • Sec.1

1少額訴訟

堀川 寿和2021/12/14 10:48

少額訴訟とは

 一般市民間の小規模な紛争を少ない時間と費用で迅速に解決することを目的として、民事訴訟法に「少額訴訟に関する特則」が設けられている。少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争を解決する特別の手続である。

対象事件

(1) 対象事件

 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審判(審理および裁判)を求めることができる。

 少額訴訟による審判は、原告がそれを求めた場合にのみ、行われる。少額訴訟による審判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。


Point1 少額訴訟を提起することができるのは、管轄の簡易裁判所である。


Point2 滞納管理費等の額が60万円以下であれば、少額訴訟制度を利用することができる。


Point3 通常の訴訟の手続によるか少額訴訟の手続によるかは、原告が選択することができる。少額訴訟の対象となる事件であっても、必ずしも少額訴訟の手続による必要はない


Point4 少額訴訟の制度を利用するのに、事前に調停などの手続を経ておく必要はない。


(2) 利用回数の制限

  同一の簡易裁判所において同一の年に10回を超えて少額訴訟による審判を求めることができない。貸金業者やクレジット業者など特定の者がこの制度を独占的に利用して、一般市民による利用が阻害されるのを防止するためである。このため、申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に少額訴訟による審判を求めた回数を届け出なければならない。


通常手続への移行

(1) 通常手続への移行

 原告が少額訴訟による審判を求めても、被告は少額訴訟による審判を望まない場合がありうる。被告が少額訴訟による制度を拒否したい場合は、被告は、訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をすることができる。この場合、訴訟は、この申述があった時に、通常の手続に移行する。


(2) 期間の制限

 通常手続へ移行することができるのは、一定の時期までに限られ、被告が第1回口頭弁論期日(最初にすべき口頭弁論の期日)において弁論をし、またはその期日が終了した後は、訴訟を通常の手続きに移行させることができない。