- 一般知識ー5.財政
- 2.国の財政
- 国の財政
- Sec.1
1国の財政
■予算・決算
(1) 予算とは
一会計年度(4月1日から翌年3月31日まで)の歳入歳出の見積りを内容とする財政行為の準則(=のっとるべき規則)のことである。
予算には、主に次の機能がある。
統制機能 | 政府の財政活動をコントロールする機能 |
管理機能 | 政府の事業活動を効率的に実施する機能 |
計画機能 | 政府の事業活動を計画的に遂行する機能 |
(2) 予算に関する原則
① 総計予算主義(財政法14条)
国の収入と支出は、全額予算に計上しなければならない。
② 事前議決の原則
予算は、執行前にあらかじめ国会の議決を受けなければならない。
③ 公開性の原則
予算は、国民に公開しなければならない。
④ 単一性の原則
すべての収支は、1つの会計で処理しなければならない。
(3) 予算の種類
① 一般会計予算
国が社会保障、公共事業、教育等の一般行政を行うための主要な収支を管理する会計予算である。
② 特別会計予算
国が特定の事業を行う等、特定の歳入をもって特定の支出に充て、一般会計と区別して経理処理する必要がある場合に限定して、設定することができる会計予算である。事業特別会計、保険特別会計等が存在する。
(4) 予算の構成
① 予算総則
予算全体の総括的な規定が設けられ、公債発行限度額等が定められている。
② 歳入歳出予算
予算の本体をなし、歳入予算と歳出予算に区分されている。
(5) 補正予算・暫定予算
①補正予算
内閣は、次の場合に限り、補正予算を作成し、国会に提出することができる。
1. 法律上または契約上、国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じたことがらに基づき特に緊要となった経費の支出、または債務の負担を行うため必要な予算の追加を行う場合
2. 予算作成後に生じたことがらに基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合
② 暫定予算
内閣は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間にかかる暫定予算を作成し、これを国会に提出することができる。暫定予算は、その年度の予算が成立すると失効する。暫定予算に基づく支出、又はこれに基づく債務の負担があるときは、その年度の予算に基づいてなしたものとみなされる。
(6) 決算
各省各庁の長は、毎会計年度、財務大臣の定めるところにより、その所掌にかかる歳入及び歳出の決算報告書並びに国の債務に関する計算書を作製し、これを財務大臣に送付しなければならない。内閣は、会計検査院の検査を経た歳入歳出決算を、翌年度開会の常会において国会に提出するのを常例とする。
■租税
(1) わが国の租税制度
戦後のわが国の租税制度は、1950年度のシャウプ税制改正により、所得税中心主義が採用された。
租税は、課税主体により、国税(例:所得税、消費税、相続税)と地方税(例:道府県民税、市町村民税、固定資産税)に分類することができる。
また、租税は、納税義務者と負担者との関係により、直接税(例:所得税、相続税)と間接税(例:消費税、酒税)に分類することもできる。
(2) 地方交付税
地方交付税とは、地方公共団体間の財政格差を是正するために国から交付されるもので、地方公共団体の自主財源とされている。
■公債
(1) 公債とは
必要な収入が租税をもって賄うことができない場合、公債が発行される。公債とは、国等の債務のうち、債券発行形態をとるものをいう。国が発行するものが国債、地方公共団体が発行するものが地方債である。発行には、いずれも、国会・地方議会の議決が必要である。
(2) 公債発行の原則
① 建設国債の原則(財政法4条)
国債を発行する場合、その経費対象は公共事業費等に限定しなければならないという原則である。これにより、わが国では、原則として特例公債(いわゆる「赤字国債」)の発行は禁じられている。ただし、現実には、各会計年度ごとに制定される特例法により、特例公債は発行されている。
② 市中消化の原則(財政法5条)
公債を実際に発行する場合は、市中消化させなければならないという原則である。これは、公債の日本銀行引き受けを原則として禁止するものである。