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1経済学説

堀川 寿和2021/12/07 16:46

経済学説

(1) 絶対主義時代の経済思想

① 重商主義

 資本主義の初期的発展期に支配的であった経済政策の総称をいう。1国の富の大きさを貨幣(金銀)によって図ろうとする重金主義、貿易差額をプラスにするように説く貿易差額論等がある。

代表的論者として、トマス=マン、コルベールが挙げられる。

② 重農主義

 重商主義の批判として登場した経済思想である。経済的価値を農業生産に求め、富の源泉は農業生産にあるとし、その基本政策として自由放任主義(レッセ・フェール)を主張した。

その始祖ケネーは、著書「経済表」において、経済の循環を分析した。


(2) 古典派経済学

① アダム=スミス(1723~1790)

 重農主義を修正し、商品の価値は、その生産に費やされる労働の量によって決まるという労働価値説を主張した。彼は、自由放任政策の下で、各人が自分の利己心に基づいて行動すれば、神の見えざる手に導かれて、経済は「自然調和」の状態を達成するとした。

その主張は、主著「国富論」で著されている。

② 古典派経済学の発展

 スミスに始まる古典派経済学は、リカード(1772~1823)、マルサス(1766~1834)、J.S.ミル(1806~1873)らによって発展していった。

 リカードは、労働価値説をさらに発展させた「比較生産費説」を唱え、国際分業論を説いた。

主著に「経済学及び課税の原理」がある。

 マルサスは、主著「人口論」で、資本主義社会の貧困は人口が等比級数的(ネズミ算的)に増加するのに対して、食糧生産は算術級数的(等差数列的)にしか増加しないことにあるとして、人口増加の抑制を説いた。

 J・S・ミルは、古典派経済学理論を集大成した。主著「経済学原理」では労働価値説から離れ、商品の経済的価値は賃金・利潤・地代の3要素から構成されるとする「生産費説」を唱えた。


③ ケインズ経済学

 ケインズ(1883~1946)は、古典派経済学で自明とされた自由放任政策の下での価格調整機能に疑問を唱え、有効需要の不足による非自発的失業の存在を指摘し、公共投資等による政府の積極的な有効需要創出の必要性を説いた。

 また、貨幣需要がどのようにして決定されるかについて、人々が貨幣を保有する動機(1. 取引動機、2. 予備的動機、3. 投機的動機)からアプローチしている(ケインズは、取引動機は経済活動の水準である国民所得に依存するとしている)。

 なお、ケインズの主著には、「雇用・利子及び貨幣の一般理論」がある。