- 一般知識ー4.経済
- 1.経済体制
- 経済体制
- Sec.1
1経済体制
経済の分野からは、毎年1~2問の出題がある。経済理論や用語から1問、国の財政か地方の財政から1問というのが基本となっていた時期もあったが、現在は、出題数に関しては流動的である。しかし、出題テーマに関しては以前と変わるところはないので、過去問を中心に基本的な事項をしっかり勉強していれば、得点源とすることができる分野である。地道に1つ1つの概念を理解していくようにしたい。
■資本主義経済体制
(1) 資本主義経済とは
生産手段の私有、利潤追求、労働力の商品化を特徴とする経済体制であり、18世紀後半、イギリスにおける産業革命を契機に確立していった。
(2) 資本主義経済の歴史的展開
① 資本主義経済の成立
資本主義経済が成立するためには、資本の原始的蓄積と労働力の存在が不可欠である。イギリスにおいては、15世紀以降の土地囲込み運動(エンクロージャー)により、資本の原始的蓄積と労働力の供給が行われ、これにより資本主義経済が成立した。
そして、この資本主義経済はイギリスにおける産業革命を通じて確立し、フランス、ドイツ及びアメリカに拡大した。
【産業革命の過程】
【手工業】 独立した手工業者が個別に注文を受け、生産を行う ↓ 【問屋制家内工業】 生産者と販売者が分離し、商業資本家が登場 ↓ 【工場制手工業(マニュファクチュア)】 生産過程に資本を投じ、利潤をあげる産業資本家が登場 ↓ 【機械制大工業】 |
② 資本主義経済の変容
19世紀末~20世紀にかけて、イギリス、ドイツ、フランス及びアメリカにおいて競争に勝ち残った企業に資本と生産が集中し、従来の自由競争に代わって、これらの巨大企業に市場が支配されるようになった。これにより、資本主義は独占資本主義の段階に入った。
この独占資本主義の下では、企業は、合併あるいは他の企業の株式を取得して持株会社を作る等により、市場の支配を維持しようとした。
(3) 現代の資本主義経済
経済の自由放任的な運営は、市場の独占・寡占を生み、また、景気の不安定・慢性的な失業をもたらした。
そこで、アメリカにおけるニューディール政策に代表されるように、国家が経済活動に積極的に介入するようになった(=修正資本主義)。
さらに、第2次世界大戦後は、欧州連合(EU)等のような地域的経済統合が進み、経済の地域ブロック形成への動きが急速に進行している。
■社会主義経済体制
(1) 社会主義経済とは
生産手段の公有化に基づく計画経済を基本とする経済体制である。この社会主義経済は、社会主義思想を基盤としており、次のような特徴を有している。
① 私有財産制度の否定 ⇒ 生産要素・生産手段の公有化
② 計画経済 ⇒ 国家が策定した計画に基づく経済運営
③ 社会的分配 ⇒ 労働の量と質に応じた分配
(2) 社会主義経済の成立
1917年のロシア革命により、世界最初の社会主義国家であるソ連が誕生した。一方、中国では、1949年の革命を経て1958年に人民公社運動が起こり、急速に社会主義化が進んだ。第2次世界大戦後、東ヨーロッパ諸国、東アジア、キューバ等で社会主義国家が成立した。
(3) 社会主義経済の変容と崩壊
① ソ連
中央集権的な管理機構と生産手段の公有化を基礎に、計画経済が導入された。その後、この経済体制はソ連を中心とした経済相互援助会議(COMECON)の設立へと進展した。しかし、経済停滞が打開されず、利潤方式の導入・企業独立採算制等の改革、また、ペレストロイカの下でも経済再建は進まず、1991年末、ソ連は崩壊した。
【用語チェック】 ペレストロイカ
1986年に始まった政治・経済の建て直し政策のこと。民主化の第一段階として、グラスノスチ(情報公開)を行った。
② 中国
1960年代に入って、中ソ対立の激化から、自力更生の道を歩みはじめた。その途上において文化大革命による混乱はあったものの、農業・工業・国防・科学技術の4つの近代化政策の一環として、外資導入のための経済特区の設置等、門戸開放政策が進められた。そして、1993年の憲法改正により、社会主義市場経済が明記され、著しい経済発展を遂げている。