- 一般知識ー3.政治
- 3.選挙
- 選挙
- Sec.1
1選挙
■総論
総論
(1) 選挙とは
公務員の選任等を、多数人によって行うことをいう。
間接民主制の下においては、政治的意思決定は国民の代表者が行うため、国民は、その代表者を選挙により選出することを通じて、政治的意思決定に参加することになる。
(2) 選挙権・被選挙権
① 選挙権とは
代表や特定の役職につく人物を選ぶ選挙人の権利や資格のことをいう。
② 被選挙権とは
選挙によって当選人になることができる資格のことをいう。
【被選挙権の年齢要件】
国会議員 | 衆議院議員 | 満25歳以上 |
参議院議員 | 満30歳以上 | |
地方公共団体の長 | 都道府県知事 | 満30歳以上 |
市町村長 | 満25歳以上 | |
地方公共団体の議会の議員 | 満25歳以上 |
■選挙制度
(1) 選挙の基本原則
選挙の基本原則には、次のようなものがある。
【選挙の基本原則】
普通選挙 | 一定の年齢に達した全ての者に対して、等しく選挙権を与える(性別・身分・財産・門地等によって選挙権を制限しない) ⇔ 制限選挙 |
平等選挙 | 1人1票の投票 ⇔ 不平等選挙 |
直接選挙 | 有権者が、直接候補者に投票する ⇔ 間接選挙 |
秘密選挙 | 有権者がどの候補者に投票したかを秘密にする(例:無記名投票) ⇔ 公開投票(例:記名投票) |
自由選挙 | 投票することは自由であり、投票しないことも自由であるから、棄権したからといって罰金、公民権停止、氏名の公表などの制裁を受けない。 ⇔ 強制投票制度 |
(2) 選挙区制
選挙区制とは、選挙における全体の定員を選挙区に配分する方法のことである。
(3) 投票方法
投票方法には、単記投票制と連記投票制がある。
① 単記投票制
候補者の中から1名だけ選んで記入し、投票する方法である。
② 連記投票制
候補者の中から2名以上選んで記入し、投票する方法である。連記投票制には、完全連記投票制と制限連記投票制がある。完全連記投票制とは、定員数までの人数の候補者名を記入し、投票する方法である。また、制限連記投票制とは、定員数より少ない人数の候補者名を記入し、投票する方法である。
(4) 代表制
代表制とは、代表者を選出し議席を配分する方法をいう。これには、大きく次の3つの方法がある。
① 多数代表制
多数代表制とは、選挙区内における議席を、有権者の多数派に独占させるものである。この多数代表制の代表的なものとしては、小選挙区単記投票制と大選挙区完全連記投票制がある。
小選挙区単記投票制は、小選挙区制と単記投票制を組み合わせたもので、多数派の候補者1名が選出されるため、それ以外の候補者に対する投票はすべて死票となる。また、大選挙区完全連記投票制は、大選挙区制と完全連記投票制を組み合わせたもので、全議席が多数派によって独占され、少数意見が政治に反映されにくい。
② 少数代表制
少数代表制とは、選挙区内における議席を、有権者の多数派に独占させることなく、少数派にも議席獲得の機会を与えるものである。大選挙区制に単記投票制や制限連記投票制を組み合わせた制度等がある。
③ 比例代表制
各政党の得票数に応じて議席を配分するものである。
【多数代表制と比較した比例代表制の長所と短所】
長所 | 短所 |
1. 死票が少ない
2. 有権者の意思を忠実に反映することができる 3. 少数派も議会に代表を送ることができる | 1. 小党分立を招き、政権が不安定になりやすい
2. 政党に投票するため、有権者と候補者との結びつきが弱くなる 3. 政党に投票するため、政党の組織化が必要となり、政党無所属の者が立候補できないなど、被選挙権が制限される可能性がある |