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1国家総論

堀川 寿和2021/12/07 16:27

 

国家総論

 この分野の近年の出題傾向としては、政治制度、特に、その中でも、日本の行政に関連するものがよく出題されている。しかも、解答するためには専門的な知識を必要とされる選択肢もある。したがって、この分野は、他の分野に比べ、やや難易度が高い問題が出題されているといえる。

 効率的な学習方法としては、まず頻出分野を中心に基礎的知識を固めたうえで、過去問などを素材として、問題演習を行うことである。

 なお、政治については、行政改革などの時事的要素の強い問題の出題可能性が高いので、日ごろから、新聞などを通じて、最新情報を取り入れることを心がけるとともに、模試などを利用して、時事的要素の強い問題への対策をしておくとよい。


 夜警国家、福祉国家の意義と背景を理解することと、行政国家現象はどのような背景から生じ、どのような問題点があるのかを押さえておくこと。このテーマはいつ出題されてもおかしくないので、よく理解し、覚えておくことが必要となる。


(1) 国家の三要素

国家が成立するためには、一定の領域、国民、主権が存在しなければならない。

① 領域

 統治権のおよぶ範囲のことをいい、領土・領海・領空がある。領海は、干潮時の海岸線から12カイリ(1カイリは1,852m)である。

② 国民

 国家の構成員であり、その国の国籍を有している者のことをいう。

③ 主権

 国家における最高の意志で、領域及び国民を支配する権力のことをいう。


(2) 夜警国家と福祉国家

① 夜警国家

 近代市民国家における「自由放任主義」の考え方に基づき、国家の機能は「国防」「治安維持」のみという最小限にとどめるべきとする国家。

② 福祉国家

 高度化した資本主義による矛盾・弊害を除去するために、国家の機能は、社会保障を中心とする社会政策や、貧富の格差の縮小、政府が有効需要を創出することによる完全雇用の実現などを目指す経済政策の実施にまで及ぶとする国家。


(3) 国家観の変遷

 19世紀に成立した『近代市民国家』は、国家権力の過剰な干渉を排することが国民の自由を実現するとの見地から、国家の機能は外敵の侵入を排除し、犯罪を取り締まることのみにあると考えられた。しかし、その後、資本主義が高度化することにより生じた貧富の格差や、人口の集中により生じた社会問題に対し、国家が積極的に国民生活に関与することが必要であると考えられるようになった。


(4) 国家観の変遷の要因

① 政治的要因

 普通選挙制度の実現により、圧倒的多数を占める一般大衆が、一振りの特権階級による恣意的支配を崩したこと。

② 経済的要因

 自由放任主義による市場メカニズムが経済的特権階級を生み出し、労働者階級との格差が広がり、失業、貧困を生み出したことに対する矛盾が感じられたことと、1920年代後半の世界恐慌が、自由放任主義による市場の自己回復能力の限界を示したこと。

③ 社会的要因

 資本主義の高度化により、工業化・都市化が進展し、公害問題・環境問題・交通事情の悪化等、一般企業や国民一人一人の力では解決できない社会問題が発生し、国家による統制が必要になったこと。