- 商法・会社法ー2.会社法
- 2.株式会社の特色・仕組み
- 株式会社の特色・仕組み
- Sec.1
1株式会社の特色・仕組み
■株式会社の特色
(1) 株式
株式とは、株式会社の社員の地位のことである。なお、社員とは会社への出資者のことをいい、株式会社への出資者はとくに株主とよばれる。株式会社は株主をその有する株式の内容および数に応じて平等に取り扱わなければならない(109条1項)。これを株主平等の原則という。
株式は、均等化、細分化された割合的単位の形式をとっている(1単位の内容を原則として同一にしている)。これは、不特定多数の人々の投資を容易にし、多くの資本を集めるためである。会社に出資しようとする者は希望に応じた数の株式を取得することができる。また、株式は譲渡することも原則として自由なので、出資者は容易に投下資本を回収することができる。
また、株式が均等化、細分化された割合的単位の形式をとっていることから、社員の地位の大きさ(会社への発言力・会社からの利益分配)は、株主の人間的な個性や魅力で決められるのではなく、客観的な持ち株数(出資の額)によって決められることになる。
(2) 株主の間接有限責任
株主の責任はその有する株式の引受価額を限度とされる(104条)。株主は、会社に対して株式の引受価額の出資義務を負うだけであり、これを出資すればその責任は果たしたことになり、会社債権者に対して個人的に直接に責任を負うことはない。これを、株主の間接有限責任という。つまり、会社が負債をかかえて倒産したとしても、株主は出資した金額を失うだけで、会社債権者からそれ以上の返済を求められることはないことを意味する。このように株主の責任を限定することで、多くの出資者が安心して出資できるようになる。
(3) 資本金
株主の会社債権者に対する責任は、間接有限責任であるため、会社債権者は株主の財産をあてにすることはできず、その債権の担保となるものは、会社財産のみである。そこで、会社債権者を保護するため、会社に、常時、一定の財産を確保する必要がある。資本金とは、このような会社財産を確保するための基準となる一定の金額のことをいう。
株式会社と取引する者は、少なくとも資本金相当額が財産として会社に残されていると考えて取引している。したがって、資本金の額とは名目的に定まっているものではなく、資本金の額に相当する財産が現実に会社に拠出され(資本充実)、かつこれが保有されていなければならない(資本維持)。これを、資本充実・維持の原則という。
株式会社の資本金の額は、原則として、設立または株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払い込みまたは給付をした財産の額となる(445条1項)。ただし、払込みまたは給付に係る額の2分の1を超えない額は、資本金として計上しないで、資本準備金として計上することができる(445条2項・3項)。
■株式会社の仕組み
企業者は利益の獲得を目的として資本と労力を投ずるが、多額の資本を集めることができればそれだけ大企業を形成して大きな利益をあげることができる。株式会社における株式と株主の間接有限責任とは、多額の資本を集め大企業の形成を容易にするための制度的な仕組みである。すなわち、一般公衆は株式数に応じて会社に参加することができ、また、社員の責任が有限であれば万一損失を被っても、その額は出資の範囲に限られることになる。このような仕組みによって一般公衆の会社への参加が容易となり、株式会社は、一般公衆の間に散在する遊休資本を吸収して大企業を形成し、資本主義経済の発展に多大な貢献をしてきた。