• 行政法ー6.地方自治法
  • 5.条例と規則
  • 条例と規則
  • Sec.1

1条例と規則

堀川 寿和2021/12/06 16:16

憲法94条の規定により、地方公共団体には自治立法権が保障されており、これを受け、地方自治法では、地方公共団体の制定する『条例』と地方公共団体の長が制定する『規則』について定めている。

規則とは

 規則とは、地方公共団体の長が制定する自治立法である。

 長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務(148条、149条)に関し、規則を制定することができる(15条1項)。

 「その権限に属する事務に関し」とは、①条例の委任がある場合、②条例の実施に必要な特例を定める場合のほか、③法定受託事務の処理に必要な場合を含む。


(1) 規則の実効性の確保

 長は、法令に特別の定めがある場合を除いて、規則中に、規則違反者に対して、5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる(15条2項)が、原則として、規則中に刑罰を設けることはできない。


(2) 公布・施行手続

 規則の公布に関しては、条例の公布手続に準ずることとされている。

 規則は、施行期日の定めがあるものを除いて、公布の日から起算して10日を経過した日から施行される(16条5項・3項)。


条例と規則の関係

 条例と規則にはそれぞれ専属的な所管事項があり、それぞれの領域にとどまる限りは両者の抵触は存在しないため、両者の関係を論じる必要はない。

 一方、条例と規則の双方が担当できる所管事項については、両者の優劣等が問題となる。そして、その際に条例の規定と規則の規定に矛盾がある場合には、条例のほうが規則に優先すると考えられる。条例は、地方公共団体の議会が定める基本的な自治法規であり、再議制度など、長が議決に関与する機会が与えられているから、その性質を重視するのである。


要綱とは

 地方行政の現場においては、法律、条例、規則の他に、『要綱』という形式により行政活動の取扱いの基準などが定められ、行政の運営の指針とされることや、時には規則的な行政活動を行う根拠を与えるものであるかのような取扱いがなされることがある。

 要綱は、法律や条例とは異なり、外部的な効果をもたらすものではなく、行政機関の内部規定にとどまるものである。このような要綱に基づく行政活動は、『要綱行政』などと呼ばれ、地方公共団体では、宅地開発や住宅建設の規制、大規模店舗の進出に関する規制などの分野で、行政指導として行われることが多い。詳しくは行政手続法の要綱行政の項を参照。