- 行政法ー6.地方自治法
- 5.条例と規則
- 条例と規則
- Sec.1
1条例と規則
憲法94条の規定により、地方公共団体には自治立法権が保障されており、これを受け、地方自治法では、地方公共団体の制定する『条例』と地方公共団体の長が制定する『規則』について定めている。
■規則とは
規則とは、地方公共団体の長が制定する自治立法である。
長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務(148条、149条)に関し、規則を制定することができる(15条1項)。
「その権限に属する事務に関し」とは、①条例の委任がある場合、②条例の実施に必要な特例を定める場合のほか、③法定受託事務の処理に必要な場合を含む。
(1) 規則の実効性の確保
長は、法令に特別の定めがある場合を除いて、規則中に、規則違反者に対して、5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる(15条2項)が、原則として、規則中に刑罰を設けることはできない。
(2) 公布・施行手続
規則の公布に関しては、条例の公布手続に準ずることとされている。
規則は、施行期日の定めがあるものを除いて、公布の日から起算して10日を経過した日から施行される(16条5項・3項)。
■条例と規則の関係
条例と規則にはそれぞれ専属的な所管事項があり、それぞれの領域にとどまる限りは両者の抵触は存在しないため、両者の関係を論じる必要はない。
一方、条例と規則の双方が担当できる所管事項については、両者の優劣等が問題となる。そして、その際に条例の規定と規則の規定に矛盾がある場合には、条例のほうが規則に優先すると考えられる。条例は、地方公共団体の議会が定める基本的な自治法規であり、再議制度など、長が議決に関与する機会が与えられているから、その性質を重視するのである。