- 行政法ー6.地方自治法
- 6.議会
- 議会
- Sec.1
1議会
■議会の地位
地方公共団体においても、国と同様に、住民が選挙した代表者を通じて政治が行われる代表民主制が基本とされており、憲法は、長、議会の議員ともに住民が直接選挙することを規定している。そして、これを受けて地方自治法は、首長制を採用し、議会と長を独立対等なものと位置づけることにより、二元的代表制を採用するとともに、それぞれが職務を自主的に行うことで相互に抑制と均衡を図っている。
この場合において、地方公共団体の議会は、地方公共団体において住民を代表してその地方公共団体の意思を決定する機関と位置づけられる。
しかし、地方公共団体の議会は、国政における国会とは異なり、地方公共団体における最高機関でもなければ、唯一の立法機関でもない。議会の他に、長も住民の直接選挙によって選ばれ、住民を代表する機関となっているからである。
cf. 議会の役割
上記を踏まえて、議会の役割というものを考えると、以下のようになる。 1. 地域社会における多種多様な争点を政治過程に乗せること。 2. 審議を通じてそれらの争点に政策としての優先順位を与え、住民に示すこと。 3. 首長との緊張関係を保ちつつ地方公共団体の公的な意思を形成すること。 4. 執行機関による要請執行の適正さや有効性を評価し、監視・統制していくこと。 |
■議員の地位・身分等
(1) 議員の地位
議会は、住民の直接選挙によって選挙された議員によって組織され、議員は議会の基本的な構成員となる。
議員は、任期4年であり(93条1項)、解散があるときはそれ以前に終了する。また、国会議員や他の地方議会の議員、常勤の職員、地方公務員法に規定する短時間勤務職員と兼職することは禁止されている(92条)。
(2) 議員の権能
議会の議員は、予算案を除き、議会が議決すべき事件について議会に議案を提出することができる(112条1項)。この場合には、議員定数の12分の1以上の者の賛成が必要である(同条2項)。
■議会の組織・委員会等
(1) 会議
会議は、議会の構成員全員をもって組織される議会の基本的な組織であり、議会の意思はこの会議において決定される。本会議とよばれることもある。
(2) 議会の委員会
普通地方公共団体における各種の事務が複雑化・専門化しつつあるため、地方自治法は、議会に委員会制を採用して、議会の審議の徹底と能率的な議事運営を図ろうとしている。委員会は、本会議の議決前に議会から付託された事件を審査する議会の内部的な予備審査機関であり、議会は、条例で委員会を設置することができるものとされている。
委員会には、常任委員会、議会運営委員会および特別委員会の3種類があり、議会は条例によりこれらの委員会を設置することができる(いずれも任意設置)(109条1項)。
常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、請願等を審査する(109条2項)。
議会運営委員会は、(a)議会の運営に関する事項、(b)議会の会議規則、委員会に関する条例等に関する事項、および(c)議長の諮問に関する事項に関する調査を行い、議案、請願等を審査する。
特別委員会は、議会の議決により付議された事件を審査する。
各委員会は、議会の議決すべき事件のうちその部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関するものにつき、議会に議案を提出することができる。ただし、予算については、議案提出権はない(109条6項)。なお、委員会は、議会の議決により付議された特定の事件については、閉会中も、なお、これを審査することができる(109条8項)。
委員の選任その他委員会に関し必要な事項は、条例で定められる(109条9項)。かつては委員選任方法や任期などが地方自治法で定められていたが、平成24年の地方自治法改正で条例に委任されることとなった。
(3) 議長と副議長
① 議長・副議長の選出方法等
議会は、議員の中から議長および副議長1人を選挙しなければならない(103条1項)。議長および副議長の任期は、議員の任期による(同条2項)。
② 議長・副議長の辞職
議長および副議長は、議会の許可を得て辞職することができる(108条本文)。ただし、副議長は、議会の閉会中においては、議長の許可を得て辞職することができる(同条但書)。
③ 議長の権限
議長には委員会(議会の委員会)に出席し、発言する権利が認められている(105条)。また、議長は、普通地方公共団体の議会または議長の処分または裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟について、当該普通地方公共団体を代表する(105条の2)。