• 民法ー3.物権(担保物権を除く)
  • 6.相隣関係
  • 相隣関係
  • Sec.1

1相隣関係

堀川 寿和2021/12/02 13:14

相隣関係

 隣接する土地所有者間の関係を相隣関係という。隣接する土地相互の間では、その境界線付近でトラブルが生じがちである。そこで、民法は、土地所有者同士が互いに仲良く土地を利用できるように、隣接する土地相互の所有権を調整するルールを定めている。


(1) 隣地使用請求権

① 土地の所有者は、境界またはその付近において障壁や建物を築造または修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる(209条1項本文)。

② ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない(209条1項ただし書)。

③ 隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる(209条2項)。


(2) 公道に至るための他の土地の通行権(囲繞地通行権)

① 他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる(210条1項)。

② 通行の場所および方法は、通行のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない(211条1項)。

③ 通行権者は、必要があるときは、通路を開設することができる(211条2項)。

④ 通行権者は、その通行する他の土地の損害に対して、原則として1年ごとに、償金を支払わなければならない(212条)。

⑤ 分割によって袋地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる(213条1項前段)。この場合は、償金を支払うことを要しない(213条1項後段)。


Point1 袋地の所有権を取得した者は、所有権取得登記を具備していなくても、囲繞地の所有者ないし利用権者に対して、囲繞地通行権を主張することができる(最判昭47.4.14)。


Point2  ⑤の無償の囲繞地通行権は、通行の対象となる土地に特定承継が生じた場合にも消滅しない(最判平2.11.20)。


(3) 自然水流に対する妨害の禁止

 土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない(214条)。これは、土地の自然の高低によって水が自然に流れてくる場合、低地の所有者はこれを受忍しなければならないということである。


(4) 雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止

 土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない(218条)。


(5) 境界標・囲障設置権

① 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる(223条)。

② 境界標の設置および保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する(224条本文)。

③ 2棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる(225条1項)。

④ 囲障の設置および保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する(226条)。

⑤ 境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝および堀は、相隣者の共有に属するものと推定する(229条)。


(6) 越境竹木の枝の切除・根の切取権

① 境界線を越えてきた隣地の竹木の枝は、その竹木の所有者に切除させることができる(233条1項)。

② 境界線を越えてきた隣地の竹木の根は、自分で切り取ることができる(233条2項)。


(7) 境界線付近での建築制限

① 建物を築造するには、境界線から50cm以上の距離を保たなければならない(234条1項)。

② 境界線から1m未満の距離に他人の宅地を見通すことのできる窓または縁側(ベランダを含む)を設ける者は、目隠しを付けなければならない(235条1項)。

③ 上記①②と異なる慣習があるときは、その慣習に従う(236条)。