• 憲法―9.参政権
  • 1.公務員選定罷免権
  • 公務員選定罷免権
  • Sec.1

1公務員選定罷免権

堀川 寿和2021/12/01 10:12

 参政権とは、国民が主権者として直接又は代表者を通じて、国の政治に参加する権利である。参政権には、選挙権、被選挙権、国民投票権などがある。


公務員選定罷免権の意義

 15条1項は、公務員の任免について、国民が本来的な権利を持つことを明らかにしている。『公務員』とは、広く立法・行政・司法に関する国及び地方公共団体の事務を担当する職員をいう。15条1項は、これらの公務員の終局的任免権が国民にあるとする国民主権原理を表明したものであり、必ずしも、全ての公務員を国民が直接に選定し、罷免すべきだということを意味するものではないと解されている。

憲法が国民に求める公務員選定罷免権の直接的行使

1. 選挙による国会議員の選定(43条)

2. 選挙による地方公共団体の長・議会の議員等の選定(93条②)

3. 国民審査による最高裁判所裁判官の罷免(79条②)


国会議員に対する国民の罷免権

 憲法は、国会議員について、国民の選挙による選定のみを明記し、罷免に関する規定を置いていない。国会議員に対する国民の罷免権を積極的に認める有力な見解もあるが、通説はこれを否定する。


[理由]

1. 15条は、個々の公務員について、国民がその任免権を持つべきだという意味ではなく、全ての公務員の選定及び罷免が直接又は間接に、主権者たる国民の意思に基づいてなされるように、仕組まれていなければならない、という趣旨である。

2. 国会議員は全国民の代表であって、一部の国民の代表ではない。

3. 憲法(45条、55条、58条2項、69条)は、国会議員がその地位を失う場合を明定している。