- 法令上の制限税その他ー8.宅地・建物に関する税
- 1.全体像
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1全体像
本章からは、毎年2問出題される。税金と一言でいっても種類は多いが、宅建試験で出題されるのは、「不動産取得税」「登録免許税」「印紙税」「固定資産税」「所得税(譲渡所得)」が中心である。
■宅地・建物の取引にかかる税金
(1) 税金の種類
不動産が動くと税金も動く。例えば、Aが所有する土地建物を、Bに売却したとする。
① Aには、不動産を手放す年まで、固定資産税がかかっている。
② Aには、売買によって所得(利益)が発生すれば、所得税がかかる。
③ Aには、登記を移転する義務があるので、登録免許税がかかる。
④ Bには、登記をすると登録免許税がかかる。
⑤ Bには、不動産を取得したことに対して、不動産取得税がかかる。
⑥ Bには、翌年以後、固定資産税がかかる。
⑦ A、Bには、契約をするときに、印紙税がかかる。
このように不動産が動くときには、税金も動くことになる。これらの税金の種類を見てみよう。
都道府県税は、「不動産取得税」だけ、市町村税は、「固定資産税」と「都市計画税」だけ、あとは国税である。
(2) 課税の方法
それでは、税金はどのように決まるかを見ておこう。
どのような税金もその納税額の決め方は一緒である。
税金の額は、全てこのように決まる。消費税を例として計算してみよう。
100円の品物を買った場合を考える。
課税標準 × 税率 = 税額
(100) (0.1) (10円) ということになる。
問題は、この「課税標準」「税率」「税額」のそれぞれに「特例」が認められていることである。
しかも、その特例は、「宅地」「建物」に認められ、税金が軽減される。軽減される当事者にとってはありがたい政策的配慮であろうが、それが宅建試験を難しくしている要因なので、受験者にとってはあまりありがたくないものかもしれない。
受験者が押さえなければならないのは、その特例が、「課税標準」に対してなのか、「税率」に対してか、それとも「納付税額」に対するものかを整理することが第一。
第二は、その特例が、「住宅」に関するものか、それとも「住宅用地」に関するものなのかを整理することである。
後は、税に関する基本事項すなわち、
① 課税主体(誰が税金をとるか)
② 課税対象(何に対して課税するか)
③ 納税義務者(誰が払うか)
④ 徴収手続き(申告か通知が来るか)
⑤ 免税点(税金を免除される最低額)
⑥ 非課税(課税されない例外はあるか) といったことを個別に覚えればよい。