• 法令上の制限税その他ー8.宅地・建物に関する税
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1全体像

堀川 寿和2021/11/26 09:38

 本章からは、毎年2問出題される。税金と一言でいっても種類は多いが、宅建試験で出題されるのは、「不動産取得税」「登録免許税」「印紙税」「固定資産税」「所得税(譲渡所得)」が中心である。

宅地・建物の取引にかかる税金

(1) 税金の種類

 不動産が動くと税金も動く。例えば、Aが所有する土地建物を、Bに売却したとする。



① Aには、不動産を手放す年まで、固定資産税がかかっている。

② Aには、売買によって所得(利益)が発生すれば、所得税がかかる。

③ Aには、登記を移転する義務があるので、登録免許税がかかる。

④ Bには、登記をすると登録免許税がかかる。

⑤ Bには、不動産を取得したことに対して、不動産取得税がかかる。

⑥ Bには、翌年以後、固定資産税がかかる。

⑦ A、Bには、契約をするときに、印紙税がかかる。

このように不動産が動くときには、税金も動くことになる。これらの税金の種類を見てみよう。



 都道府県税は、「不動産取得税」だけ、市町村税は、「固定資産税」と「都市計画税」だけ、あとは国税である。


(2) 課税の方法

 それでは、税金はどのように決まるかを見ておこう。

 どのような税金もその納税額の決め方は一緒である。



税金の額は、全てこのように決まる。消費税を例として計算してみよう。


100円の品物を買った場合を考える。

課税標準 × 税率 = 税額

(100)   (0.1) (10円)    ということになる。


問題は、この「課税標準」「税率」「税額」のそれぞれに「特例」が認められていることである。

しかも、その特例は、「宅地」「建物」に認められ、税金が軽減される。軽減される当事者にとってはありがたい政策的配慮であろうが、それが宅建試験を難しくしている要因なので、受験者にとってはあまりありがたくないものかもしれない。

受験者が押さえなければならないのは、その特例が、「課税標準」に対してなのか、「税率」に対してか、それとも「納付税額」に対するものかを整理することが第一。

第二は、その特例が、「住宅」に関するものか、それとも「住宅用地」に関するものなのかを整理することである。

後は、税に関する基本事項すなわち、

① 課税主体(誰が税金をとるか)

② 課税対象(何に対して課税するか)

③ 納税義務者(誰が払うか)

④ 徴収手続き(申告か通知が来るか)

⑤ 免税点(税金を免除される最低額)

⑥ 非課税(課税されない例外はあるか)  といったことを個別に覚えればよい。


課税主体

誰が税金をかけるのかをまとめると、以下のようになる。

税の種類課税権者
不動産取得税不動産の所在する都道府県
登録免許税
印紙税
固定資産税固定資産の所在する市町村
所得税
相続税


では、次節以降で個別の税金について学習しよう。