• 法令上の制限税その他ー5.宅地造成等規制法
  • 1.宅地造成等規制法の目的と仕組み
  • 宅地造成等規制法の目的と仕組み
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1宅地造成等規制法の目的と仕組み

堀川 寿和2021/11/25 16:03

 本章からは、ほぼ毎年1問出題される。「宅地造成等規制法」は、宅地における災害防止法である。具体的には、がけくずれや、土砂の流出という災害を防止するものである。

 日本は、山地の多い国である。平地が少ないので、必然的に山を削って、宅地を造成することになる。そうすると、必然的に、がけくずれや土砂の流出が起こる。そこで、そのような災害をできるだけ防止し、安全な宅地にしようというのが、この法律の目的である。

 出題があるとしても比較的簡単な問題であるので、確実に得点することが求められる。


宅地造成等規制法の目的

 宅地造成等規制法は、宅地造成に伴う崖崩れまたは土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命および財産の保護を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。

宅地造成等規制法の仕組み

 宅地造成等規制法は、宅地造成に伴う災害が生じるおそれが大きい一定の区域を「宅地造成工事規制区域」として指定し、その区域内で行われる一定の工事について、許可や届出を必要としたり、その区域内の宅地の所有者などに、宅地の保全義務を課したりして、災害防止のため必要な規制を行っている。

 また、宅地造成工事規制区域外の区域にある既存の造成宅地についても、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一定の区域を「造成宅地防災区域」として指定し、造成宅地の所有者などに、災害防止のための措置を講ずるよう義務付けている。


【宅地造成等規制法の仕組み】

宅地造成工事規制区域宅地造成に関する工事の許可制
宅地造成に関する工事等の届出制
宅地の保全義務
造成宅地防災区域災害防止措置義務



宅地造成工事規制区域・造成宅地防災区域の指定

(1) 宅地造成工事規制区域の指定

都道府県知事は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地または市街地となろうとする土地の区域であって、宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものを、宅地造成工事規制区域として指定することができる。

※ 指定権者は、指定都市または中核市の区域内の土地については、それぞれ指定都市または中核市の長である。


(2) 造成宅地防災区域の指定

都道府県知事は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係市町村長の意見を聴いて、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地(これに附帯する道路その他の土地を含み、宅地造成工事規制区域内の土地を除く)の区域であって政令で定める基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。

※ 指定権者は、指定都市または中核市の区域内の土地については、それぞれ指定都市または中核市の長である。


Point1 造成宅地防災区域は、宅地造成工事規制区域「外」の区域に指定される


Point2 都道府県知事は、造成宅地防災区域について、擁壁等の設置または改造その他災害の防止のため必要な措置を講ずることにより、当該区域の指定の事由がなくなったと認めるときは、その指定を解除することができる。


(3) 測量または調査のための立入り

 都道府県知事またはその命じた者もしくは委任した者は、宅地造成工事規制区域または造成宅地防災区域の指定のため他人の占有する土地に立ち入って測量または調査を行う必要がある場合においては、その必要の限度において、他人の占有する土地に立ち入ることができる。

 土地の占有者または所有者は、正当な理由がない限り、この立入りを拒み、または妨げてはならない。

 都道府県は、宅地造成工事規制区域または造成宅地防災区域の指定のために行う測量または調査のために他人の占有する土地に立ち入ったことにより他人に損失を与えた場合においては、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。