• 法令上の制限税その他ー4.農地法
  • 1.総則
  • 総則
  • Sec.1

1総則

堀川 寿和2021/11/25 15:19

 本章からも例年1問出題される。農地法は、農地を守る法律である。日本の国土は狭く、建物を建てられる土地は限られている。そこで、どうしても農地をつぶして宅地とせざるを得ない。ところが、無計画に農地をつぶされると食糧政策上の問題が生じてしまうおそれがある。そこで、農地法は、食糧の確保、農業の振興という観点から、農地の転用等に関して一定の制限を設けている。大まかには、農地の耕作者が代わる『農地の権利移動』、農地をつぶしてしまう『転用』および『転用目的権利移動』についての許可制度や届出制度である。

 これらの規制は当然重説事項となるため、宅建試験の出題科目なのである。


農地法の目的

 農地法は、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もって国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的としている。農地法は、この目的を達成するために、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による農地についての権利の取得を促進し、および農地の利用関係を調整するための措置を講じている。

農地・採草放牧地の定義

 農地法は、農地・採草放牧地の権利移動や農地の転用をする場合に、許可を要することとしている。

 そこで、「農地」「採草放牧地」とは何かが問題となる。


(1) 農地

「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいう。

 現に耕作されている土地のほか、現在は耕作されていなくても耕作しようとすればいつでも耕作できるような土地(休耕地、不耕作地)も含む。


(2) 採草放牧地

「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作または養畜の事業のための採草または家畜の放牧の目的に供されるものをいう。


(3) 現況主義

「農地」「採草放牧地」であるかは、登記簿上の「地目」ではなく、土地の現況で判断する。

農地であるもの農地とはいえないもの
① 休耕田・休耕地
② 登記簿上の地目は山林であるが、現況は田
① 宅地内の家庭菜園
② 住宅を建築するまでの一時耕作地