- 労働衛生(有害業務に係るもの)
- 5.ガス中毒
- ガス中毒
- Sec.1
1ガス中毒
■ガスの種類
・ 「刺激性ガス」は、気管や肺組織に炎症などの障害を引き起こす。
・ 「窒息性ガス」は、ガス自体に有害性は低い。ただし密閉された場所で増加していくと、酸素濃度が減少する単純窒息性ガスと、ガス自体に有毒性を持つ化学的窒息性ガスに分けられる。
■ガスの特徴
ガス |
特徴・性質 |
① 一酸化炭素 |
息切れ、頭痛を起こし、虚脱や意識混濁になる。吸入し続けると酸素欠乏状態で窒息死する。 |
② シアン化水素 |
酸素欠乏の状態を生じ、急性中毒になると頭痛、耳鳴り、嘔吐を引き起こす。重症になると呼吸困難やけいれんを起こして死亡する。 |
③ 硫化水素 |
頭痛やめまい、歩行の乱れ、呼吸障害を生じ、意識消失・呼吸麻痺などを起こして死亡に至る。 |
④ 塩素 |
目や鼻、喉の灼熱感とめまいを生じ、肺水腫を引き起こす。 |
⑤ フッ化水素 |
フッ化水素(弗化水素)のガスを吸入すると、肺を損傷して肺水腫を引き起こす。慢性中毒になると骨の硬化や斑状歯になる。 |
⑥ 二酸化硫黄 |
水分に溶けて亜硫酸となり、慢性気管支炎や歯牙酸蝕症を引き起こす。 |
⑦ 二酸化窒素 |
水に反応して硝酸や亜硝酸になるため、肺水腫や慢性気管支炎になる。 |
⑧ ホルムアルデヒド |
水溶性はホルマリンとなる。慢性症状として肝臓や腎臓障害を起こす。 |
・ 「一酸化炭素」は不完全燃焼時に発生し、毒性があるのにもかかわらず、無色透明であるために気づかないことが多い。血液中に含まれるヘモグロビンと結合して酸素欠乏状態を引き起こす。
・ 一酸化炭素中毒の後遺症として、物忘れなどの精神的神経症状がみられたり、植物人間状態になったりすることがある。
・ 喫煙者の血液中ヘモグロビンは、非喫煙者と比べて、一酸化炭素と結合している割合が高い。
・ 塩化ビニル樹脂製造工場にて、塩化ビニルモノマーを吸引してしまうと中毒を発生する。症状として指端骨溶解や、肝臓の血管肉腫等がみられる。