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1労働衛生管理統計

N222022/03/22 16:29

労働衛生における健康管理を考える場合、労働者が疾病によりどれくらい休業したかを調べていく手法がある。

労働衛生管理統計

(1) 病休度数率

在籍労働者の延実労働時間100万時間当たり何件の疾病休業があったかをあらわすものとして、病休度数率というのがある。これに対して在籍労働者1,000当たり何件の疾病休業があったかをあらわすものとして、病休件数年千人率がある。

 

 

病休度数率=(疾病休業件数/在籍労働者の延実労働時間数)×100

 

病休件数年千人率 =(疾病休業件数/在籍労働者数)×1,000

 

延実労働時間数には、残業時間数や休日労働時間数も算入する。

疾病休業件数には、負傷が原因となって引き続き発生した疾病も含まれる。

 

 

(2) 病休強度率

在籍労働者の延実労働時間1,000時間当たり何日の疾病休業日数があったかを示すものとして、病休強度率というのがある。これに対して在籍労働者の延所定労働日数100当たり何日の疾病休業延日数があったかを示すものとして、疾病休業日数率がある。

 

 

病休強度率=(疾病休業延日数/在籍労働者の延実労働時間数)×1,000

 

疾病休業日数率=(疾病休業延日数/在籍労働者の延所定労働日数)×100

 

分子は同じ疾病休業延日数を使用する。

疾病休業延日数には、年次有給休暇のうち疾病によることが明らかなものも含める。

上記4つの公式を使用して、計算する問題が出ることがあるので注意する。

  また計算結果は、小数点第2位まで表示する。

病休度数率と、病休強度率を表す公式は混同しやすい。確実に暗記しておくことが望ましい。ゴロ覚えとしては、「強度1,000日、100万件ドス(度数)」というのがある。

上記4公式以外には、「負傷休業日数率」等もある。

 

 

統計学の基礎知識

統計学の基礎知識として以下のようなものがある。

 

(1) 有所見率と発生率

有所見率

ある時点における検査の有所見者の割合

発生率

一定期間に有所見が発生した人の割合

 

 

(2) 偽陽性率と偽陰性率

偽陽性率

疾病がないのに陽性と判断された者の率

偽陰性率

疾病があるのに陰性と判断された者の率

偽陽性者は、実際には健康であるため再検査等で異常なしと判断される。

 

 

(3) 分布のバラツキ

集団のバラつきというものは、分散や標準偏差によって表される。「標準偏差の二乗 分散」なので、標準偏差か分散のどちらか一方が分かっていれば、もう一方も分かる。

 

 

(4) 集団の比較

 平均値が異なれば別集団、平均値が同じでも分散が異なれば別集団となる。

 

 

(5) スクリーニングレベル

 スクリーニングレベルとは、集団の中から正常者と有所見者を選び出すためのふるいわけする測定値のことをいう。

測定値が高めの場合

偽陽性率は低くなり

偽陰性率は高くなる

測定値が低めの場合

偽陽性率は高くなり

偽陰性率は低くなる

ある事象と事象との間に、統計上相関関係が認められても、それらの間には因果関係がないこともある。

労働衛生管理においては、スクリーニングレベルを低く設定するのが一般的となっている。

 反対にスクリーニングレベルを高く設定すると、有所見者の割合が減ることになる。

 

 

【アウトプット】次の記述の正誤を答えよ。

12. メタボリックシンドロームの診断基準で腹部肥満とされるのは、男性90cm以上、女性85cm以上である。

13. 柔軟性の検査項目は、「立位・座位の体前屈」である。

14. 偽陽性率とは、疾病がないのに、陽性と判断された者の率であり、偽陰性率とは、疾病があるのに、陰性と判断された者の率である。

15. 病休度数率とは、延労働時間1000時間当たり何件の疾病休業があったかをあらわす。病休強度率とは、延べ労働時間100万時間当たり何日の疾病休業日数があったかをあらわす。