- 憲法ー13.財政
- 1.財政処理の基本原則
- 財政処理の基本原則
- Sec.1
■租税法律主義
「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」(30条)という規定と、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律または法律の定める条件によることを必要とする」(84条)という規定が租税法律主義の根拠になる。
租税法律主義は、課税要件法定主義と課税要件明確主義を内容とする。
(1) 課税要件法定主義
「日本国憲法の下では、租税を創設し、改廃するのはもとより、納税義務者、課税標準、徴税の手続はすべて…法律に基いて定められなければならないと同時に法律に基いて定めるところに委せられている」(最判S30.3.23)。
(2) 課税要件明確主義
課税要件および賦課・徴収を定める手続は、誰でもその内容を理解することができるように、明確に定めなければならないという原則。
租税法律主義において『租税』とは、「国家が、その課税権に基づき、特別の給付に対する反対給付としてでなく、その経費に充てるための資金を調達する目的をもって、一定の要件に該当するすべての者に課する金銭給付」のことである(最判S60.3.27)。
形式的には租税に当たらないものの、一般国民から強制的に徴収する金銭である負担金、手数料、国の独占事業の料金などが租税法律主義の適用を受けるのか否かについては、広義説(負担金、手数料、国の独占事業の料金なども、国民の自由意思に基づかず一方的に賦課される金銭である以上、租税法律主義の適用を受けるとする説)と狭義説(84条は、反対給付のない租税についてのみ規定し、負担金、手数料、国の独占事業の料金などは、反対給付があるため84条にいう租税には当たらず、これらに対しては83条が適用され、国会による緩やかなコントロールが及んでいれば足りるとする説)との争いがある。